別冊 日常臨床で必ず使える! 歯内療法克服の一手
8/8

10911外傷歯学が教えてくれた歯内療法の本質2.私が考える歯内療法の診断の勘所3.私の診療環境① 問診を重要視している:いつから,どんな種類の痛みか,とくに自発痛,冷温痛の有無は歯髄炎の程度を判断する,あるいは,エンドとペリオおよびその他の疾患との鑑別診断の入り口である.また,患者の年齢は抜髄するかどうかの大きな判断要素である.② エックス線写真検査:根尖部の病変(透過像や骨硬化像),歯根膜腔の拡大(破折を疑う),骨欠損,歯石,う蝕病変などを注意深く探る.下顎臼歯部では,condensing osteitis(硬化性骨炎)が歯髄炎の診断に役立つ(図2).③ 電気歯髄診断とプロービング:エンド‐ペリオの鑑別診断,歯髄壊死の有無の診断に欠かせない.④ 打診痛の有無:通常歯科疾患で来院した患者の患歯は打診痛をともなうことが多い.原始的であるが重要な診査である.⑤ 疑わしきは罰せず(疑わしき歯は抜髄せず):わからないときは触らないようにしている. 大臼歯のエンドはほとんどの症例で歯科用CT(CBCT)による術前診査を行っている.みえないものをわからないまま治療する勇気は年々小さくなっている.また,顕微鏡を使わないエンド治療も同様である.ラバーダムは必須である.多根歯で特定の歯根だけに問題があればその根管のみ治療を行うようにしている.たとえ大臼歯のすべての根管に問題があっても,原則クラウンを除去せずに根管治療を行っている(図3). 他人のエンドのやり変えの成功率は6~7割と伝えている.問題が多い上下顎の第二大臼歯は歯根形態がよければ,意図的再植の可能性を提示することも多い.スムーズに抜くことができれば,正しい診断と予知性の高い治療(根切と逆根管充填)が行えるからである.歯の保存のためのコンサルテーションの勘所図3 多根歯のエンド治療のやり変えは,原則的に問題のある根管をCBCTで把握し,その根管を主な治療対象としている.ラバーダムは必須である.クラウンを外さずに根管治療を行っている.図2 41歳,男性.下顎右側臼歯部にときどき咬合痛がある.すべての歯はである.痛みの原決め手となった.エックス線写真による診断のポイント当院におけるエンドのやり変え原則

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です