コンセプトを持った予知性の高い歯周外科処置
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338大臼歯が歯牙移動の対象やアンカーとなる場合,大きなストレスが加わる.もし,アンカーとなる歯牙に根分岐部病変があれば,根分岐部には“炎症と外傷”の共同破壊因子が加わり,急速な付着の喪失や歯槽骨の吸収などの予期せぬ事態を招くことが多い.根分岐部病変に対して切除療法で対応する場合は,できるだけ炎症をコントロールしながら矯正治療を行い,矯正治療後にroot resectionなどの確定的処置を行うのが一般的である.しかし再生療法が可能であると判断された場合,矯正治療前に行う方が治療の予知性は高いと考えられる.ただし,矯正治療の開始時期は再生療法後少なくとも1年は待たなければならない.歯槽骨の形態異常,とくに垂直性の骨欠損がある場合,非外科的なアプローチでは廓清処置の限界を超えていることが多い.再生療法の適応症であれば,矯正治療前にGTR法などの再生療法を行い,歯槽骨の形態の改善を図る.この場合も,術後最低1年経過してから矯正治療を開始する.切除療法が適応と考えられるような骨欠損は,矯正治療後に確定的歯周外科処置を行うべきである.なぜなら矯正治療により骨形態が改善し,切除する骨量が少なくなることもありうるからである.根分岐部病変(再生療法が適応の場合)骨形態異常(再生療法が適応の場合)矯正治療中に根分岐部病変が進行した症例図10下顎大臼歯のアップライトを目的とした矯正治療中のX線写真.このX線写真から根分岐部病変が進行している可能性が推測される.矯正治療中の炎症のコントロールは必須で,矯正治療後に確定的な歯周治療が必要である.再生療法後に矯正治療を行った症例�図11-1図11-2�図11-1, 2症例8症例9

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