「欠損歯列」の読み方,「欠損補綴」の設計
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欠損形態咬合パラファンクション歯根・歯槽骨・顎堤上下顎のアーチの大きさの違い1332 欠損形態と補綴の種類による残存歯への影響CHAPTER3 「欠損補綴」への個々のリスクの捉え方と予後欠損の部位・範囲・形態 部分欠損補綴を考える際にはまず,欠損の部位・範囲・形態などの欠損部の評価を行う必要がある.ブリッジかインプラントかの選択を行う場合,遊離端欠損や多数歯欠損であれば,ブリッジが不可能な場合も多々ある.また,多数歯連続欠損の場合,隣在歯への負担や補綴装置の複雑化および機械的強度などの点からは,ブリッジよりもインプラントのほうが有利であろう(図1).しかし,1~2歯の中間歯欠損の場合,力学的な観点からだけでもその術式選択は容易ではなく,欠損部隣在歯やその他の残存歯の状態,あるいは対咬関係などさまざまな条件を考慮して決定する必要がある.隣在歯の状態 筆者は,歯周組織に問題がなく,隣在歯が天然歯の場合,ブリッジは健全歯質を切削するという大きな欠点があるため,とくにインプラントに不利な因子が他になければ,インプラントを第一選択にする場合が多い(図2).しかし,隣在歯が天然歯であっても機能的あるいは審美的な理由によってその形態を変える必要がある場合は,ブリッジにより修復を行うこともある(図3).この場合は歯髄の温存に努めるとともに,二次う蝕や歯周疾患のリスクに対して最大限配慮しなければならない. 隣在歯がすでに補綴されているが,有髄歯である場合は,力学的な問題が大きくなければ(1歯欠損や前歯2歯欠損の部位・範囲・形態に応じた選択図1 遊離端欠損・多数歯欠損ではブリッジが不可能な場合も多く,インプラントが有利である.欠損の拡大を止める 隣在歯の状態による処置の選択の指針隣在歯が天然歯第一選択インプラント(図2)機能的・審美的理由で形態を変える必要がある場合ブリッジ(図3)隣在歯が補綴歯有髄歯1歯欠損,前歯2歯欠損,小臼歯2歯欠損ブリッジ(での対応が多い)(図4)大臼歯や犬歯を含むやや幅が広い2歯欠損基本的にインプラント(図5)対合歯が義歯で咬合力が弱い場合はブリッジ無髄歯残存歯質が十分ブリッジ残存歯質が不十分インプラント(図6)

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