「欠損歯列」の読み方,「欠損補綴」の設計
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section 3 パラファンクションによるリスク172CHAPTER3 「欠損補綴」への個々のリスクの捉え方と予後なく,エナメル‐象牙境の象牙質寄りにあるエナメル叢(enamel tufts)から成長するといわれる1. 天然歯に対するオーバーロードは,つぎのような形となって歯に出現する(図2~7).①微細な割れ(crack)②条痕(striation)③退縮(semiluner recession)④咬合頂の凹陥(cusp tip invagination)⑤エナメル剥離(enamel detachment)⑥セメント剥離(cementum detachment)天然歯以外の要素 オーバーロードとなった力は天然歯を襲うだけではない.咬合面を通して,修復物,接着セメント,歯根,歯槽骨へと伝播する.それぞれの構成物の弱点,その境界部に猛攻を加える.コンポジットレジンはゆがみ,接着はたやすく引き剥がされる.セメントは粉砕され,そこに唾液やプラークが侵入する.メタルには不思議な縞模様が出現,外被としての被覆材が応力のターゲットになる. 応力集中は荷重の形態が1軸か2軸か,引張荷重か圧45図4,5 図4は充填のない小臼歯のヘアラインクラック.クラックの下端とCEJの直交する部位に,エナメルの微小破断を原因とするう蝕が発生している.図5は充填のある大臼歯のクラック.これも歯頸部にう蝕がある.両方のう蝕とも微小破断部にプラークが集積した結果であり,プラークそのものが第一原因ではない.クラックの直上に咬耗が存在しないことが多い.オーバーロードの影響23図2,3 両歯ともに縦方向のクラックがあり,エナメル表面に風紋のような横縞と,大小の剥離が生じている.頬側に各種の変化が大きく,とくにセメントエナメル境(CEJ)に集中しており,被圧変位が集中しやすい部位を応力が攻撃している.エナメルのはがれ落ちた破断部(abfraction)に5級窩洞のコンポジットレジン充填をしても効果はきわめて少ない.風紋のような横縞と大小の剥離クラックによるう蝕の発生

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