「欠損歯列」の読み方,「欠損補綴」の設計
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欠損形態咬合パラファンクション上下顎のアーチの大きさの違い歯根・歯槽骨・顎堤1872 パーシャルデンチャーへのリスク因子CHAPTER3 「欠損補綴」への個々のリスクの捉え方と予後図8a~d 間接維持装置は鉤歯に加わる力のベクトルあるいは応力の大きさを変化させる.欠損側に隣接した鉤歯(直接維持装置)の力学的な負担は大きい.義歯の動きを緩和して直接維持装置の負担を軽減するために,欠損部から離れた歯に(効果的に)間接維持装置を設置することで,義歯の維持安定のみならず,鉤歯への負担を軽減し機能的予知性を高める.a:矢印部は適切な間接維持装置が欠如した状態を示す.b:このような場合は咬合力に対して,間接維持装置の欠如により義歯床の上下的な動きがコントロールされず,テコの支点を中心に回転運動が発生する.結果的に浮き上がりやい義歯になる.c:矢印部は適切な間接維持装置を示す.d:この場合には咬合力が義歯床を介して適切に顎堤に伝達され,間接維持装置により義歯の回転が防止される.*参考文献4より引用・改変ba間接維持装置なしdc間接維持装置あり歯根表面積,骨植,歯冠‐歯根比図7a~d 歯周疾患による歯槽骨の吸収は歯根表面積の減少を意味し,歯冠-歯根比の変化として表れる.このような鉤歯に対しては歯冠形態を修正し(当然クラスプデザインも変化する),クラスプあるいは鉤歯に加わる側方力を可及的に有利な条件に導くことが重要である.これはいわゆるマウスプレパレーションの一環ととらえてよい.a:鉤歯に対する側方力(F)は作用点が抵抗源(支点:歯の場合は歯槽骨頂)から離れ,切縁・咬合面付近に作用するほど歯根に対する為害作用が大きくなるb1,2:鉤腕が切縁・咬合面付近に配置されると,支点から作用点までの距離が大きくなり,鉤歯の負担過重や為害側方力を与える可能性がある.c:歯周疾患により歯槽骨が吸収した場合は歯根・歯冠長比が変化している.そのために支点から作用点までの距離が短くても,健全歯に比較して力学的な条件は悪い.d1,2:歯周疾患等で骨植が悪い場合には,1)鉤歯を連結固定したり,2)歯冠部を切削して歯根・歯冠長比を変化させたうえでオーバーデンチャーなどの応用を考える.FFFFFcd1b1a1a2d2b2

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