削るう蝕 削らないう蝕
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115Chapter 1 う蝕とはどういう疾患か 初診時47歳・女性。の補綴物脱離を主訴に来院した。う蝕原性細菌が非常に多く、唾液分泌量もきわめて少ない(カリエスリスクの詳細は16ページ参照)。口腔内はパサパサした感じで、咀嚼しても泡程度の唾液しか分泌しない。主訴以外の治療は、再根管治療など緊急性を要するものを主として行った。ミュータンス菌、唾液に配慮したリスクコントロールとして、キシリトールの摂取を推奨した。 しばらくメインテナンスに通院していたが、乳がんに罹患して以来、通院は途絶えている。症例1-1-1a 初診来院時口腔内写真。けっして治療を中断したわけではなく、まじめに歯科医院に通院しながら、この状態に至っている。修復治療や補綴処置は行われているが、う蝕という『疾患』自体に対する治療や、歯周治療はまったく行われていないといえる。症例1-1-1b 初診来院時エックス線写真。下顎の前歯にまで補綴物が装着されており、何らかの重大なカリエスリスク要因の関与が強く疑われた。症例1-1-1くり返し歯科治療を受け、全顎に修復処置がなされた症例

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