さわる咬合, さわらない咬合
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第4章 顎関節症(TMD)と咬合069②さわらなかった症例図4a 初診の状態.主訴は開口障害と咀嚼時顎関節部の疼痛.この症状は初めてであるという.初診1999年.21歳,男性,大学生.図4b 顎機能不全問診表(術前).顎関節部の器質的問題もあるが,ストレスの問題もあった(医大生で専門課程に入ったことと,試験などのストレスのようであった).図4c スプリントと認知行動療法にて対処を行った.図4d 顎機能不全問診表(スプリント療法後).経過は良好となった.*矢印部分は初診時「はい」だった部分図4e,f 咬合状態.7に早期接触があり,側方運動でも大臼歯に干渉があった(g,h).では,すぐに削合調整をするのか??②7の咬頭干渉症例(図4a~k)──さわらなかった症例 主訴は開口障害(TMD)(図4a~k).この症例は,発症当時にかなりの精神的ストレスの自覚があった.また,食いしばりの徴候も認められた.最大咬頭嵌合位(以下,ICP)からの機能運動時の干渉が7に認められたが,CR・生理的顆頭安定位での診査で早期接触も同歯にあった.その干渉を除去しても,つぎには他の歯が干渉してくる.下顎偏位は1mm程度であり,咬合以外の関与も大きいと推測されたため,干渉部だけを処置しても,咬合以外の要因の改善がなされなければ主訴のTMDの再発の可能性がある.下顎の偏位1mmの調整においても煩雑で,多数の歯の削合が必要となることが多い.そして,う蝕もない生活歯を多数削合するリスクよりも,認知行動療法と習慣・習癖の改善,スプリント療法を第一選択とした.ef

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