天然歯保存へのチャレンジ&スタディグループのインプラント教育
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64インプラント全盛時代における天然歯保存へのチャレンジ―エンドの立場から―はじめに インプラント全盛の現代において、今、また天然歯保存の重要性が問われている。患者が求めているのは、自分の歯をより長く口腔内に保存し、機能させることである。そのために最善をつくすことはわれわれ歯科医師の使命であり、安易に抜歯をしてインプラントに移行することは慎まなければならない。 抜歯に至る要因を歯内療法の側面から考えてみると、わが国の抜歯の原因調査1)では抜去歯の約60%が根管充填済みの歯であり、また、根管治療が施された歯はされていない有髄歯よりも、高頻度に抜歯に至ることが報告されている。さらに、横断研究2)では根管充填がなされた歯のうち約40%にX線上で根尖部透過像が観察されたと報告されている。つまり、根管治療のクオリティが歯の保存に大きく関与していることがわかる。 従来、歯科治療において歯内療法は手探りの治療であった。現在は歯科用のマイクロスコープが使用されるようになり、根管内を明視野で観察できるようになってきた。それにより、根管内の様々な抜歯に至る要因を見ることができ、それを解決する方法が生み出されている。 エンドにかかわる抜歯の要因として、筆者は7つの項目を挙げる(表1)。それについてOJ年次ミーティングでは一つ一つ症例を紹介したが、本稿では誌面の都合上、岡口守雄(岡口歯科クリニック)●略歴1976年 明治大学政治経済学部経済学科卒業1986年 岩手歯科大学歯学部卒業1993年 東京都千代田区にて開業●所属団体日本顎咬合学会指導医S.J.C.D.理事S.J.C.D.マイクロコース インストラクター表1 歯内療法の原因1 不適切な根管の拡大・清掃2 残随炎3 器具の根管内破折4 根管壁の人工的穿孔5 歯根吸収6 歯内-歯周病変7 歯根破折

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