イラストで語る 歯科医学最前線
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8注入型培養骨の現在←集められた増殖・分化した細胞.④培養した骨芽細胞とPRPを混合させ,注入型培養骨を作成.⑤上顎洞を開洞し,インプラントを埋入する.⑥注入型培養骨を,骨再生を施したい上顎洞部に移植.⑦二次手術時には骨再生が認められる.⑧補綴物を装着.図4 顎裂部骨欠損に対して注入型培養骨を応用した臨床例.自家骨移植と比較し,低侵襲な治療法である.程が,移植した幹細胞により行われることが示唆された.3.培養骨の臨床応用 注入型培養骨の臨床応用は,まず局所麻酔下で骨髄液を採取し,間葉系幹細胞を分離・培養して必要細胞数まで増やす.それを術前に準備した多血小板血漿と混合させて歯槽骨再生部位に注入し,骨再生を施す(図2)2〜5. 培養骨を用いた症例は,歯周病・インプラント・顎裂部骨欠損・仮骨延長術における治癒期間短縮などに応用される(図3,4).3cm程度の空洞状骨欠損に対しては適応可能で,人工材料のような異物と比べると格段に骨再生期間が早く,待機期間も短縮できる有効な再生法である. 現在,臨床応用され5年以上経過しているが,予後は良好で,術式・適応症も明らかとなり,実用化が進められている.4.将来展望 自己の若い幹細胞を用いる,体にやさしいこの新しいテクノロジーは,そう遠くない将来利用できる段階に来ており,患者が要求する審美的回復への応用も可能である.この再生医療は,高齢社会におけるQOL(quality of life)向上型医療の新たな可能性に満ちており,究極のアンチエイジング医療,夢の先進医療になり得るであろう.33

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