イラストで語る 歯科医学最前線
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9924上顎結節部の脈管・神経上顎結節翼状突起(蝶形骨)2.上顎結節部を走行する脈管 「翼口蓋窩」では,「歯槽孔」をとおり上顎骨内に入り,上顎大臼歯および上顎洞に分布する「後上歯槽動脈」が分岐する.「後上歯槽動脈」は,上顎洞外壁内面を後方から前方に走行することから,サイナスリフト(上顎洞底挙上術)を行う際には注意が必要である.そのほか「歯槽孔」より進入せず上顎骨に沿って走行するものには太い分枝がある(図3).この部位が出血した際の止血は困難であるため,浸潤麻酔時,さらにインプラント体の埋入時には十分な注意を要する.またそのすぐ後方には「翼突静脈叢」が位置する.3.視診と触診による「歯槽孔」の位置の推定 神経・脈管の走行を考える場合,「歯槽孔」の位置を推定することは非常に重要となる.「歯槽孔」は上顎骨後壁上で,左右的には第三大臼歯の直上から,第二大臼歯までの間に存在し,上下的には,頬骨下稜を通り,「歯槽縁」に平行な線上より5mm以内上方にあり,上顎骨体における高さの中央1/3のところにある. そこで,示指を口腔内に入れ,第二大臼歯部より上方へ挿入し,ついで,爪床が前方へ向くよう回転し,少し前方へ示指を動かすと,頬骨下稜をふれるので,この爪の尖端付近の高さに,「歯槽孔」が位置することがわかる.なお,指を挿入する際,開口していると筋突起が前走し,指が入りにくいので,口を閉じさせておくか,少し開ける程度にする.図2 上顎結節部(左側)に過剰に深く埋入され,翼状突起を破壊(矢印部)したインプラント.図3 上顎結節部に分布する後上歯槽動脈(矢印).

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