イラストでみる口腔外科手術 第3巻
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19CHAPTER■顎関節パンピングマニピュレーション 顎関節上関節腔穿刺法ならびにパンピングマニピュレーションに使用する器材を図19-13に示す.① 第1穿刺部位をマークし,ここを1%キシロカイン®E(-)を用いて浸潤麻酔する.② 1%キシロカイン®E(-)2mLを入れた5mL注射筒に21G(ゲージ)針をセットし,患者に軽く口を開けるよう命じつつ,第1穿刺部位から針先を内上方へ向けて刺入する.針先で下顎窩外側縁の骨面を触知したら,その直下に滑り込ませるように関節包を穿通する.針が関節包を穿通したら急に抵抗がなくなり,このとき注射針の先端は上関節腔内にある(図19-14).ここで麻酔液を注入し,アスピレーション操作で注入した麻酔液のリターンが得られることを確認する.リターンが得られない場合は,注射筒を回転させたり針の位置を少し変えてみる.それでもうまくいかない場合は関節腔穿刺をやり直す.③ 注入液のリターンが得られたら,上関節腔を麻酔液で満たし,1~2分後,生理食塩液を用いてパンピングを行う.回収液に血液が混じったり浮遊物が混入している場合(図19-15a)は,その都度新しい生理食塩液に換え,回収液が無色透明になるまでパンピング操作を繰り返した後(図19-15b),症例に応じて水溶性ステロイド剤やヒアルロン酸製剤(保険適用外)を注入する.④ 抜針後は,刺入点を絆創膏で保護する.最後に,マニピュレーションテクニックを併用しながら,ストレッチさせる感覚で,2~3回最大開口を促す.図19-13 上関節腔穿刺(パンピング)用器材.図19-14 上関節腔への穿刺.生食液60顎関節症に対する手術

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