垂直歯根破折歯を救え!
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垂直歯根破折歯の接着治療の実際第1部56A口腔内接着法:根管内から破折間隙を接着封鎖する方法隔壁の作製とその方法の選び方手順1程度で作製できるので、その後の作業効率を考えると、全体の治療時間を短縮するのにも有効である。 隔壁は対合歯との咬合接触を避け、クリアランスを十分に確保しておくことが大切である。一般の根管治療では、打診痛がなければ対合歯の挺出防止を目的に咬合接触を与えることがあるが、歯根破折ではたとえ歯頸部が隔壁により離開が防止されたとしても、咬合すると根尖部が開いてしまうことがあるため(図2-1参照)、隔壁は適切に防湿できる最小限の高さにする。 口腔内接着法は、感染根管治療と同様に根管内をすべて無菌化することを目標に、破折間隙を根管内から切削して清掃する。そのために、ラバーダムは可能なかぎり装着すべきである。破折間隙の切削にはマイクロスコープが必要な場合が多いが、これにはミラーが必要であり、ミラーが患者の呼気で曇ると作業効率は著しく低下する。ラバーダムはミラーの曇りの防止にも効果的である。 垂直破折した歯根には歯肉縁上歯質が少ないことが多く、そのままではクランプが装着できない症例も多い。この場合には隔壁を作製しなければならない。隔壁は10分1隔壁の必要性と注意点 隔壁の作製方法として、除去したクラウンを再利用する方法がある。 クラウンと築造体を除去した後、残存歯質がある程度残っている症例では、クラウンの除去時に入れたスリットを即時重合レジンなどで修理し、元の位置に合着する(図4-1)。 合着の際は、髄腔内はストッピングなどでセメントが流入しないようにしておく。隔壁は近い将来除去するものであるため、グラスアイオノマーセメントなどを使用したほうが除去しやすいが、残存歯質が少なく維持が不十分な場合は、レジンセメントを使用する。セメントが硬化したら、髄腔開拡の要領でクラウンの咬合面に穴をあけ、髄腔内に一部流入しているセメントや仮封材を除去する。2除去したクラウンを利用した隔壁の作製法図4-1 除去したメタルクラウンを利用した隔壁。 除去時に切削したスリットは、即時重合レジンで修理して合着し、咬合面に穴をあける。

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