垂直歯根破折歯を救え!
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1各種表面処理材の特徴症例に応じて選択、ティースプライマーは水洗不要レッドと高粘度レッドはエナメル質、グリーンと高粘度グリーンは象牙質154接着治療を成功に導くためのサイエンス第2部A表面処理材の重要ポイントエナメル質用の表面処理材レッド(A)、高粘度レッド(B)、象牙質用の表面処理材グリーン(C)、高粘度グリーン(D)、水洗不要のティースプライマー(E)。図12-1 スーパーボンドの表面処理材。 スーパーボンドの表面処理材には、レッド、高粘度レッド、グリーン、高粘度グリーン、さらにティースプライマーの5種類がある(図12-1)。 レッドは65%リン酸、高粘度レッドは20%リン酸で、エナメル質のエッチング専用である。垂直歯根破折の治療でエナメルエッチングを行うのは、再植後の暫間固定の時のみであり、症例に応じて使いやすいほうを使用すればよいが、暫間固定には流動性の低い高粘度レッドが使いやすい。30秒間エナメル質に塗布後、十分に水洗、乾燥を行う。 グリーンと高粘度グリーンはいずれも10%クエン酸、3%塩化第二鉄溶液で、象牙質面に使用する。処理時間は5~10秒で、水洗、乾燥を行う。処理時間がきわめて短時間で水洗してしまうことから、歯根膜や歯肉に付着してもほとんど影響はない。象牙質の処理時間は発売当初30秒とされていたが、その後5~10秒でも効果が同様であることから処理時間が短縮された。したがって、10秒以上経過するとただちに接着力が低下しはじめるわけではない。グリーンと高粘度グリーンは流動性の違いだけである。高粘度グリーンは不必要な部位へのエッチングが避けられるので、通常のポストやインレーなどの接着にはよい半面、微細な凹凸には流れにくいので、垂直破折の破折間隙を確実に処理するためにはグリーンを使用したほうがよい。表面処理材グリーンは、口腔内接着法ではシリンジを用いて根管洗浄の要領で根管内に注入することが、もっとも確実に破折間隙を処理できると考えている。また、再治療法ではSサイズの筆で破折線に塗布する方法、口腔外接着法ではスポンジまたはLサイズの筆で塗布する方法が、効率的かつ確実な方法である。 ティースプライマーはエナメル質、象牙質、いずれに用いてもよく、20秒間塗布した後にエアブローする。間違っても水洗してはならない。エナメル質や象牙質への接着は表面処理材レッドやグリーンを使用した場合と同等以上であり、エナメル質と象牙質が混在している歯面や、冷気痛があって水洗、乾燥に痛みを訴える場合は便利である。暫間固定に使用した経験では、表面処理材レッドやグリーンを使用した場合より耐久性にすぐれているという印象がある。 しかし、ティースプライマーの成分であるレジンモノマーやアセトンは、他の接着システムのプライマー同様、生体組織には炎症を誘発すると考えられるので、歯根膜や歯肉、結合組織に付着する場面での使用は控えるべきである。ABCED

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