垂直歯根破折歯を救え!
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1551211CHAPTER スーパーボンドのモノマー液に、従来の製品に加えて、クイックモノマーが追加市販された(図12-2)。 クイックモノマーは旧来のモノマーに2官能性モノマーがわずかに添加されただけで基本的性質に大きな違いはないが、操作時間はほとんど差がなく硬化時間だけが大きく短縮された。 37℃においてモノマー液4滴、キャタリスト1滴、ポリマー粉末クリア1杯を混和法で使用した場合の硬化時間は、従来のモノマーで7分30秒、クイックモノマーで4分30秒となっている。 補綴物の接着など、早く硬化してほしい場合にはクイックモノマーが良く、根管充填など、根管壁からゆっくり硬化してコントラクションギャップの発生を少しでも緩和したい場合などは、従来のモノマーを使用するとよいのかもしれないが、ギャップの発生にどの程度の差が生じるかは不明である。垂直歯根破折の治療では、いずれの場面にお1クイックモノマーの特徴生体親和性にはほとんど差がないので、クイックモノマーが使いやすい操作時間は変わらず硬化時間が大きく短縮されたクイックモノマーBスーパーボンドモノマーとクイックモノマーの重要ポイント モノマー液4滴、キャタリスト1滴、ポリマー粉末(クリア)1杯を混和してラット背部皮下に埋植し1週後。クイックモノマーのほうが、リンパ球の出現がわずかに増加するが、臨床的に意義のある差ではないと思われる。 クイックモノマーは旧来のモノマーに2官能性モノマーがわずかに添加されただけであるが、わずかな成分の違いが組織反応に影響を与える可能性があることから、病理組織学的に比較を行った。 その結果、1週後の組織標本では、クイックモノマーのほうがリンパ球の浸潤はわずかに多かったが、臨床的には違いを検出できるレベルではないと考えられた。2週後には病理組織学的にも差を判別できないレベルであった(図12-3)。 したがって、いずれのモノマー液を使用しても生体親和性にはほとんど差がなく、硬化時間が異なるだけと考えてよいと思われる。2病理組織学的比較からいても硬化時間の早いクイックモノマーのほうが使いやすい。従来のモノマークイックモノマー クイックモノマー液は従来からあるモノマー液に2官能性モノマーをわずかに加えて、操作時間を変えずに硬化時間を短縮したものである。図12-2 スーパーボンドモノマー液とクイックモノマー液。図12-3 スーパーボンドモノマーとクイックモノマーの組織反応の違い。結合組織結合組織

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