ITI Treatment Guide Volume 6
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204 ITI Treatment Guide n Volume 67章 合併症:原因、予防そして治療オプション 1週間後に患者が来院した際、彼女は非常に不満な様子で補綴物を除去するよう要求した。特に色調を変えて欲しいと主張した。コースディレクターによりセカンドオピニオンも要請された。 客観的な審美パラメータを用いた口腔内の再評価で、固定性補綴物が不満足な出来であるとわかった。臨床状態に、より適した色調、形態、カントゥアが求められた(図4)。 この時点では、補綴物の除去が問題であった。患者には、この非常に困難な問題の影響や、その方法と時間的制約、そして最悪のシナリオとしては、最初から上部構造を再製作しなければならないということについて、情報提供を行う必要があった。しかし、患者には一切追加費用はかからないことを説明した。 特別に時間制限なしの授業に患者をスケジュールした後、すべての必要な材料を準備した。特別なサービスセット(Straumann, Basel, Switzerland)が前もって注文された。 まず、固定性補綴物をゴムで保護された鉗子でつかみ、除去しようと試みた。しかし、上部構造はまったく動かなかった。次に、ポンティックの下にCORONAflexシステム(CORONAflex; KaVo Dental, Brugg, Switzerland)のスリングを掛けることを試みた。しかし最大強度でやっても、その器具の衝撃はまったく効果がなかった。 第三の試みは、サービスキット(Jota, Rüthi, Switzerland)から、ジルコニアフレームワークを切り離す専用のダイヤモンドカッターを使用することと、アバットメントのアクセスホールを見つけることであった。上顎右側中切歯部のインプラントのアクセスホールに到達し、ドライバーで除去することができた。しかし、左側側切歯部のインプラントはスクリューヘッドが損傷していて、通常のドライバーでは除去できなかった(図5~7)。図5 高密度セラミックに用いられる専用のダイヤモンドカッターが、CARESアバットメントスクリューのアクセスホールを見つけるために用いられた。図6 上顎右側中切歯部のインプラントのスクリューヘッドは損傷していなかったので、ドライバーで除去できた。図7 左側側切歯部のインプラントのスクリューヘッドはアバットメントの形成時に損傷していて、通常のドライバーでは除去できなかった。図4 最終補綴物装着時のスマイルライン。アバットメントを35Ncmで締め、アバットメントスクリューのアクセスホールを封鎖した後、不運にも固定性補綴物はPanavia(Kuraray Medical, Frankfurt, Germany)ですでにセメント固定されていた。補綴物は分厚く、人工的で、そして非審美的であった。

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