ITI Treatment Guide Volume 6
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Extended Edentulous Spaces in the Esthetic Zone 2117.3 合併症の対策─臨床ケース報告7.3.3 上顎前歯部のシリンダー型HAコーティングインプラントの失敗に対する、ボーンレベルインプラントおよびスクリュー固定式補綴物による再治療S. Keith、G. Conte 患者は49歳女性、失敗したインプラントについて評価して欲しいという、かかりつけ医による紹介で来院した。患者はきわめて協力的であり、重大な既往歴、薬剤アレルギー、そして服用中の処方薬もなかった。患者によると、この7年間軽い不眠症であり、市販のビタミンDとカルシウムサプリメントに加えて、マルチビタミンサプリメントを飲んでいた。患者はインプラント周囲に軽度の不快感や腫脹があり、そして不快な味や匂いがすることもあると訴えていた。既往歴や診査を通して、パラファンクションや顎関節症を示す証拠は認められなかった。 全顎にわたる口腔内診査、およびX線診査を行った。4本のプレスフィットタイプ、シリンダー型インプラントが上顎の両側犬歯部、そして上顎の両側中切歯部に埋入されていた。インプラントは左右それぞれ犬歯から中切歯までの3ユニットの固定性補綴物を支持していた(図1)。患者によると、インプラントはおよそ20年前に埋入されたものであった。X線所見および埋入の時期から、典型的なHAコーティングのプレスフィットタイプ、シリンダー型インプラントと思われた(図2a~d)。X線所見において、4本すべてのインプラントは広範な骨の喪失を示しており、前歯部2本のインプラント周囲(上顎中切歯部)の大部分にX線透過像が認められた。2本のインプラントで支持される固定性補綴物はわずかに動揺しており、歯肉には浮腫および付着歯肉の喪失が認められた。根尖部の触診による不快感や、インプラント周囲溝からの化膿性滲出液を認めた(図1)。 メタルセラミック補綴物はオーバーカントゥアで前方に突出していた。患者は補綴物の外観に決して満足していなかった。主訴はインプラント周囲の全体的な不快感と、最近になって歯が移動したような感覚があるということであった。患者はインプラント周囲の慢性的な軽度の炎症が、ここ数年にわたる不眠症を悪化させているのではないかと感じていた。図1 既存のインプラント支持の3ユニット補綴物の正面観。

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