ITI Treatment Guide Volume 6
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Extended Edentulous Spaces in the Esthetic Zone 2137.3 合併症の対策─臨床ケース報告 HAシリンダー型インプラントを外科的に撤去し、歯槽堤は骨誘導再生法(以下GBR法)により再建する。インプラント撤去と骨移植の直後に装着できるように暫間的な可撤性補綴物を製作する。初期の軟組織治癒の後、治癒期間中に使用するための2つめの可撤性暫間補綴物を製作する。2本の標準径のボーンレベルインプラントを上顎犬歯部に埋入する。適切な治癒期間を経たのちに、インプラント暫間アバットメント上のアクリルレジンを用いた6ユニットの固定性暫間補綴物により、軟組織の成熟および歯肉のエマージェンスプロファイルを達成する。最後に、患者の機能的、審美的な要求を満たし、健康な口腔状態に戻すべく最終的なメタルセラミック補綴物を製作、調整し装着する。 失敗したインプラントの撤去、損傷を受けた歯槽堤の再建および将来的なインプラントの埋入のための準備から治療を開始した。患者は処置の前日より、アモキシシリンによる前投薬(3×500mg/d)の服用を開始した。口蓋側の固定スクリューの除去後、装着されていた固定性補綴物を取り外した(図3)。これにより失敗したインプラントと連結された下部のメゾストラクチャーが露出した(図4)。インプラントと骨欠損部を露出させるため、局所麻酔下に歯槽頂切開を加え、全層粘膜骨膜弁を翻転させた(図5)。トレフィンバーを用いて、根尖部の骨‐インプラント接触部位の最後の数mmを分断し脱臼させたのち、インプラントを注意深く撤去した。この補綴物で使用されていた、現在では遺物となったインプラントやアバットメントスクリューそしてコンポーネントは、1989年当時のインプラント歯学の初期においては最先端であったことを示していた(図6)。術野の残存肉芽組織が徹底的に掻爬され、滅菌生理食塩水によって十分に洗浄された(図7)。図3 固定性補綴物の除去により現れた下部のメゾストラクチャー。図4 スクリュー固定式のメゾストラクチャー除去により現れた、動揺し感染を示す、今日では使用されていないインプラント。図5 全層弁の翻転により示された、インプラント周囲の広範な骨欠損の状態。図7 インプラントを撤去し肉芽組織を取り除いた状態。図6 失敗したインプラント支持補綴物の部品。

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