基礎から臨床がわかる再生歯科
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臨床に役立つ再生医学の基礎CHAPTER 136基礎から臨床がわかる 再生歯科 4歯周組織と口腔粘膜 基礎防御機構としての上皮のはたらきとは? SBO①歯周組織・口腔粘膜の組織再生とのかかわりは?②付着上皮,歯根膜線維芽細胞,セメント質の特異性を理解③組織再生のルールを理解④歯の再生についての現状と課題を理解どこまでが歯周組織? 「歯周組織」という言葉は,歯科では日常的に使っている言葉ですが,どこまでが歯周組織でしょうか? セメント質は歯根? それとも歯周組織? 歯周組織はFig 1に示すように,歯肉,歯槽骨,歯根膜,およびセメント質の4つの組織が含まれます.歯肉はさらに遊離歯肉,付着歯肉,歯槽粘膜に分けられます(Fig 2).外観では,歯頚部のすぐ下の少し盛り上がっているところが遊離歯肉です.なお,歯周外科のときの「遊離歯肉」とは別物です.このあたりまでが歯周組織と思っている方は意外に多いかもしれません.その下で,少し色がピンク色の部位で,唇をもって引っ張っても動かない部分が付着歯肉です.付着歯肉は角化歯肉ともいいます.付着歯肉よりもさらに唇や頬に近い部分で赤みが強く可動性のある場所が歯槽粘膜です.また,とくに歯と歯の間の歯肉の歯間乳頭も歯周組織です.歯肉の最上部を境に外縁上皮と内縁上皮に分けられますが,内縁上皮には歯と接していない歯肉溝上皮と歯と接している付着(接合)上皮(付着歯肉とは別物です)に分けることができます.歯肉の上皮の表層は,皮膚の表層と違い,完全には角化していません.このような状態を錯角化といい,歯肉表面の角化細胞層の細胞内には,核の遺骸をみることができます.錯角化している歯肉のバリアとしての機能は皮膚ほど強くはありませんが,その反面,角化した皮膚よりも物質が通りやすいので,表面麻酔が効きやすいといったメリットもあります.どこまでが歯周組織?歯槽粘膜付着歯肉遊離歯肉外縁上皮内縁上皮エナメル質歯槽骨セメント質象牙質歯根膜付着(接合)上皮歯肉溝上皮Fig 1 歯周組織の構造.歯周組織は歯肉(遊離歯肉,付着歯肉,歯槽粘膜),歯槽骨,歯根膜,およびセメント質より構成される.Fig 2 歯肉の構造.歯冠側より遊離歯肉,付着歯肉,歯槽粘膜から構成される.歯槽粘膜遊離歯肉付着歯肉

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