困っていませんか?こんな患者さんとのトラブル&ハプニング
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9 もし患者さんにそのような心理が働いていたならば、まずは信頼関係の構築に専念しなくてはなりません。信頼関係のなかで、患者さんの気持ちや治療への認識を正しく修正していく必要があります。 暴言を吐いた患者さんの口腔内には、すでに自費による治療を行っている部位はあるでしょうか? もしあったとしたら、患者さんは保険治療と自費治療の違いをすでに認識しているはずです。「保険でええわ!」と歯科医師の説明途中で打ち切る言動は、自費治療の価値を見出していない、もしくは不満であったのかもしれません。それらを判断するために、タイミングをみて次の質問を患者さんにしてみることをお勧めします(図1-1)。・ 今までの歯科治療で、不満などはありませんでしたか?・ 今までの歯科治療で、困ったことなどはありませんでしたか? 患者さんの多くは、過去における不満、抑圧している気持ちを聴いてもらいたい、吐き出したいという心理があります。この質問はそのきっかけをつくります。こちらの質問に対して患者さんの回答が常識を超えるものなのかどうかを見極める判断基準ともなるので、今後の対応法を考えるにあたっての重要な手掛かりとなります。1)『過去の治療体験からくる不満』への対応法 たとえば患者さんの返答が「以前の歯科医院では説明がしっかりとなされてないまま治療に入り、後で高い治療費(自費の治療費)を請求された」というものだったとしましょう。そうした体験から患者さんは、今もなお同じ失敗、悔しい思いを繰り返したくないがために、心理的防衛が働きます。患者さんの頭のなかには『高い治療費を支払わされないよう注意!』と警戒が鳴り響くのです。ゆえに歯科医師からの自費治療の説明にはもっとも過敏に反応し、真っ向から否定的な態度をとることが考えられます。 臨床では、医療者が説明した内容とは異なった認識をしている患者さんがいることは、けっして珍しいことではありません。それは歯科医師と患者のどちらかが悪いということではなく、『人の認識のしかた・捉えかたの違い』を示唆します。歯科医師の説明は必ずしも患者さんに正しく伝わっているとは限らないことを踏まえて、コミュニケーションを進めていくことが大切です。 説明するにあたっては、患者さんに必ず「ご自身がよいと思われる治療法を決定していただくことが望まれます。それにあたっては、内容を十分に理解していただき、納得がいくまで検討されたうえで決めてください」と伝自費治療を勧めたところ暴言が!図1-1 患者さんの気持ちを吐き出してもらうために、このような質問で導く。CASE 1いままでの歯科治療で、不満などはありませんでしたか?これまで歯科治療で困ったことなどはありませんでしたか?

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