インプラントオーバーデンチャーのリペア
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2章インプラントオーバーデンチャーのどこが壊れるのか?40今まで述べてきたように、インプラントオーバーデンチャーの合併症でもっとも多いのは、アタッチメントの補綴的合併症です【表2-2-1、2】。アタッチメント別で、その故障する箇所は異なります。アタッチメントの種類によって、異なる合併症を解説します。バークリップアタッチメントのメインテナンス時にみられる合併症で、もっとも頻度が高いのは、クリップの締め直しです。また、補綴的な合併症としては、バーの疲労が挙げられます(1章3 表1-3-2参照)。頻回の義歯の脱着により、クリップの緩みが大きくなります。クリップが緩んでしまうと、義歯の維持力が低下してしまいます。クリップには、金属製とプラスチック製のものがあります。プラスチック製クリップは、一度緩んでしまうと、クリップの交換を行うしかありません。一方、金属製クリップは、専用の器具を用いて、クリップの締め直しができます【図2-2-1】。バーの疲労は、咬合力によってバーがひずむ(変形する)ことで生じます【図2-2-2】。そのひずみが、バーを固定するスクリューを緩ませます【表2-2-3】。さらに、変形が大きい場合は、頻度は高くありませんが、バーの鑞着部で破折してしまいます【表2-2-4】。バーをひずませないようにするためには、2本のインプラント体で支持するのではなく、インプラント体の数を3~4本に増やし、支持を強化することも一つのオプションです。また、バーとクリップの材質によっても、経時的な維持力に差があります。金属製バーと金属製クリップであると、より疲労が大きいです【表2-2-5】。クリップに関する合併症はインプラントオーバーデンチャーの合併症の中でも、もっとも頻度の高い合併症である ( Goodacre C et al. J Prosthet Dent 1999;81:537-552.)。表2-2-1 クリップの緩みと締め直しの頻度2-2-1 バーアタッチメントの合併症アタッチメントの壊れるところ2章 2観察期間Jemt et alJohns et alSmedberg et alNaert et alHemmings et alAllen et al1年1年2年2年5年6年199219921993199419941997発生率17 %36 %56 %75 %40 %5 %表2-2-2 クリップの破折と交換の頻度観察期間Jemt et alJohns et alSmedberg et alHemmings et alWismeyer et alZarb and SchmittAllen et al1年1年2年5年6.5年13年6年発生率22 %13 %33 %12 %9 %13 %22 %1992199219931994199519961997

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