インプラントオーバーデンチャーのリペア
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2章インプラントオーバーデンチャーのどこが壊れるのか?42ボールアタッチメントの合併症で、代表的なものは、パトリックス(オス部)の疲労および破折と、マトリックス(メス部)の緩み(ゴールド製)による締め直しおよび交換です。オス部とメス部の関係においては、バークリップアタッチメントより、合併症の頻度は高くなります【図2-2-3】。パトリックス(ボール部)が疲労し、維持力が低下します【図2-2-4】。疲労が進行すると、破折してしまう場合もあります。マトリックスは、金属製ハウジングのみのものと、金属製ハウジング内にO-ring(ゴム)があり維持力を発揮するものがあります。パトリックスが破損してしまうと、交換をしなければいけませんが、ゴールドキャップなどは専用の道具で締め直すことができます。チタン製のボールアタッチメント(パトリックス)に対して、金合金製、チタン製、テフロン製、O-ring(金属製ハウジング)の各種マトリックスを用いて、5,500回の義歯の脱着を繰り返すと、ボール部は疲労してしまいます。また、マトリックスも疲労してしまいます。特に、O-ringとチタン製のマトリックスでは、維持力が大きく低下しました【図2-2-5、表2-2-6】。チタン製パトリックスは、マトリックスと同種金属なので、疲労が大きいのです。また、O-ringは、パトリックスの変形は少ないですが、ゴムの疲労による維持力の低下があったのです。2-2-2 ボールアタッチメントの合併症図2-2-3 バークリップよりもボールアタッチメントのマトリックスの調整や修理の割合は高い( Walton JN et al. Int J Prosthodont 2003;16:255-260.)。図2-2-4 平行に埋入されていない2本のインプラント体は、義歯の脱着によってパトリックスとマトリックスの疲労を起こしてしまう。図2-2-5 5,500回の脱着により、O-ringとチタン製のマトリックスは著しく維持力が低下する。一方、金合金製とプラスチック(テフロン)製マトリックスは、維持力が増加している。(Branchi R et al. J Prosthodontic 2010;19:614-619.)。パトリックスの緩み( =0.03)マトリックスの締め直し( =0.01)マトリックスの交換( =0.01)1009080706050403020100補綴(%)PPPボールIODバークリップIOD47%17%37%73%95%5%パトリックスの摩耗平行性が保たれていないマトリックスの疲労マトリックスの種類250%200%150%100%50%0%5,5005,0004,5004,0003,5003,0002,5002,0001,5001,0005000維持力脱着回数チタン製金合金製O-ring(ゴム製)テフロン製

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