迷ったときに見る口腔病変の診断ガイド
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序章 口腔顎顔面について 所属リンパ節を触知する場合には,数,大きさ,硬さ,周囲組織との可動性,圧痛の有無などについて記載する. 触知しない場合には,「触れない」と陰性所見を必ず記載することが必要である.リンパ節に関しては「異常なし」という表現は使用してはならない.a.オトガイ下リンパ節の触診 患者にやや下を向かせて頸部を弛緩させる.験者の指をそろえて,第2~4指までの3指を下顎下縁に沿って,下顎骨の内側に押しつけるようにして,圧迫して触知する(図8).b.顎関節および耳下腺領域の触診 顎関節は外耳道あるいは耳前部の触診により,顎関節の形態およびその機能について診査する.両側の外耳道に第2指を挿入して,第3と4指を下顎下縁に沿えて,開閉口運動をさせ運動機能の障害を診査する(外耳道法)(図9a). 筋肉の診査は,片側ごとに第2~3指でしっかり圧を加える.筋肉のもっとも厚い部分に対し,2度行う.触診によって無意識な逃避反射が認められた場合に,「圧痛あり」と判断する. 耳下腺は拇指を除く4指にて,両手で上方から軽く圧迫する(双手法).腫瘤を触知した場合には,両側の第2指で圧迫するように触診する(図9b). 小腫瘤を触知した場合には,拇指と第2指にて両側より圧迫するように触診する(二指法).また,耳下腺腫瘤の診断には,顔面神経麻痺の有無の確認が必要である.c.顎下リンパ節および顎下腺の触診 顎下腺と顎下リンパ節との区別は,口腔内外よりの双手診による. 顎下腺は,胡桃実大,球形,弾性軟,表面やや凹凸不整の腫瘤として触知する. 顎下腺を触診するには,験者は患者の背面に位置し,拇指と第5指を除いた3指をそろえて上方に押し上げ,下顎骨内側に押しつけるように触知する(図10a).図10a,b 顎下腺および顎下リンパ節の触診.ab21

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