迷ったときに見る口腔病変の診断ガイド
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第14章 病理学的検査(細胞診と組織診)95%エタノールに浸漬固定するか,固定スプレーを用いて固定する.Giemsa染色用の場合には乾燥固定とする. 組織診の場合には,採取した組織片の約10倍量の10~20%ホルマリン溶液(ホルマリン原液の5~10倍希釈)に浸漬して固定を行う.一般的に1時間で1mm程度の速度でホルマリンが組織に浸透する. 組織診の一般染色はヘマトキシリン・エオジン(Hematoxylin-Eosin:HE)染色が用いられる.3.病理組織依頼書の記入方法 依頼者情報(医師名,病院名,住所,電話番号),患者氏名,年齢,性別,検体採取部位,現症(病変の大きさ,色調,形状,硬度など),エックス線所見,既往歴,家族歴,現病歴などに加えて,必ず臨床診断の記載をすることが肝要である.4.検体提出から病理組織診断が報告されるまでの過程 検体の種類や施設の設備状況にもよるが,通常,比較的小さい軟組織検体の場合は提出されてから報告されるまでに約1週間から2週間を要する(図14‐4). 大きい検体や硬組織検体では固定や脱灰操作に時間を要し,4週間程度かかる場合もある. また,通常のHE染色で確定診断が得られない肉腫や悪性リンパ腫などの特殊な腫瘍の場合には,免疫組織染色などの検査を追加し組織型を確定する必要性があるので同様に時間がかかる.5.診断が困難な場合 日常業務においては,診断困難な腫瘍や病変が実際に存在する.その原因としては以下の点が挙げられる.初診時口腔内所見(生検:組織の一部を採取)切り出し固定(10~20%ホルマリン溶液)パラフィン包埋薄切未染色標本H-E 染色封入2013-1234○○ 太郎2013-1234○○ 太郎2013-1234○○ 太郎図14‐3 組織診における組織の採取方法と標本作製の過程.135

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