別冊 YEAR BOOK 2014
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Part 2 現代の歯内療法の考え方と隣接(医)歯学はじめに 本シンポジウムでは,現代の歯内療法のパラダイムシフトについて,Dr. Fischerと Dr. Leonardoによる2人1組の講演が行われた.Dr. Fischerはウルトラデントプロダクツインク社長兼CEOであり,minimally invasive dentistry(低侵襲歯科治療)をモットーに製品開発を行うとともに,世界中で講演活動を行っている.Dr. Leonardoは,アララクアラ歯科大学の歯内療法および保存修復学教室の元教授であり,テキサス大学歯内療法学教室の客員教授である.また,“Indian Dentists Research and Review”の歯内療法分野の編集主幹であり,スペインのカタルーニャ国際大学の客員教授も務めている.現在,ブラジル歯内療法学会の副会長であり,世界中で講演を依頼される歯内療法専門医である. 本シンポジウムにおいて,両氏は歯内療法領域における最小限の侵襲と患者中心の医療を提唱し,「最小限の侵襲により歯内療法を行う際の検査・診断の重要性と生物学的コンセプト」,「歯科治療のための安全かつ有効な歯内療法用清掃剤」,「簡便で安全かつ効果的な器具操作と複雑な根管系を迅速に形成して根管充填を行うためのプロトコール」を中心に講演を行われた. そこで本稿では,予知性のあるシステム化された歯内治療のトピックスについて概説する.講演の要旨1)診断 diagnosis 歯内治療において最初の検査・診断が重要である.歯髄疾患を処置するためには,各種の診査方法を応用した正確な診断法により,歯髄疾患の病態を把握し,治療方針を立てる必要がある.可逆性歯髄炎と不可逆性歯髄炎の鑑別が重要である.歯髄の生活反応の診査は,パルプテスター(pulp tester)などの歯髄電気診断器を用いて行う.歯髄保存が可能な際には,生体親和性の高いレジンと水酸化カルシウムをブレンドしたウルトラブレンドプラスJ等による間接覆髄を施した後,光重合型レジン等で修復を行う.不可逆性歯髄炎の診断では,打診反応の有無が1つの基準となる.不可逆性歯髄炎では通法に従い麻酔抜髄を行う. 一方,根尖性歯周炎はエンドドンティストとして,もっとも多くの治療時間を費やしている疾患である.本疾患の疫学,病理学,微生物学を理解することは,治療の成功に必須であるに違いない.根尖性歯周炎の検査の基本は数十年変わっていないが,まず1歯内療法の真実とフィクションシンポジウム2: Dr. Dan Fischer&Dr. Renato Leonardoの 講演からThe Facts and Fictions of Endodontics阿南 壽 Hisashi Anan福岡歯科大学口腔治療学講座歯科保存学分野連絡先:〒814‐0193 福岡県福岡市早良区田村2‐15‐144

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