別冊 YEAR BOOK 2014
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1歯内療法の真実とフィクション電気診による歯髄生活反応の有無,プロービングによる歯周ポケットの深さ,瘻孔よりガッタパーチャポイントを挿入することによる瘻管の走行のエックス線診査,さらにエックス線写真による根管充填の状態,ならびに根尖部,根側部,根分岐部の病変の有無などの臨床診査を確実に行う必要がある.また,最近話題となることの多い難治性根尖性歯周炎の治療においては,まったく手のつけられていない根管がときとしてあるため,根管の見落としがないか慎重にマイクロスコープや歯科用コーンビームCT(CBCT)を用いた検査を行う.2)緊密な防湿 isolation 歯内療法を行う際には,緊密な防湿が必須である.ラバーダム防湿後,オラシールJ(図1)を用いてラバーダムの防湿強化を行う.塗布したオラシールJのコーキングはグローブを着用した濡れた指や綿棒,器具等で簡単に形成できる.周知のとおり,歯内療法では清潔で乾燥した環境が好ましいとされている.3)アクセス窩洞形成 access 現在の歯内療法では,根管治療を行う際,歯髄腔を3分割して考え,処置するのが一般的である.とくに,第1ステップであるアクセス窩洞形成の重要性が示唆されている.天蓋を完全に除去することにより,象牙質突出部直下での歯髄組織の残存を防止する.また,すべての根管が窩洞内に含まれるまで窩洞外形を拡大する.窩洞入口を外開きに形成することにより,とくに拡大視野下で処置する場合,根管内の観察が確実に行えるようになる.4)フレアー形成 flaring 第2ステップはエンド三角の削除と根管口の漏斗状拡大である.根管口部のフレアリングを行うことにより,器具に過剰な屈曲や応力が加わらず,容易に根管への挿入が可能となる.一方,内湾部の歯質は菲薄であるため,ゲーツグリッデンドリル等でフレアリングを行う際にはstrip perforationに注意する必要がある.また,根管系は複雑で,2根管性の単一根管で,根管間をつなぐ連絡路である根管イスムス(canal isthmus)が認められることがある.イスムスには根管間を完全に連絡するものと不完全なものとがあり,その走行は不規則である.そのため,まず主根管を慎重に探索し,手用ファイルにより穿通するnegotiationが重要である.また,イスムス等の副根管は細いファイルで清掃し,根管洗浄を十分に行う.5)根管形成 shaping 第3ステップの根管形成を成功に導くためには,解剖学的な根管の走行を維持し,人工的な根管を作らないようにすることが肝要である.過度のニッケルチタン(Ni-Ti)製ロータリーファイルを用いた根管形成は,根尖孔の偏位を惹起することになる.必要最小限の根管の切削により,根尖孔を障害しないシステム化された根管形成法が望まれている.ウルトラデント社の提唱する根管形成(shaping)システムであるEndo-Eze TiLOSファイルシステム(図2)は,図1 オラシールJ.図2 Endo-Eze TiLOSファイルシステム.45

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