別冊 YEAR BOOK 2014
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1新しい試作う蝕溶解剤を用いた根管治療の有効性に関する基礎的研究急性化膿性根尖性歯周炎を有している患者5名の根管内からペーパーポイントを用いて採菌を行い実験に使用した.それぞれの患者の根管に2本のペーパーポイントを挿入し,1本はすぐに液体培地(プラディア液体培地)に浸漬した(対照グループ).残りの1本は根管から採菌後,BO試薬に5秒間浸漬後,プラディア液体培地に浸漬した(実験グループ).液体培地に浸漬したすべての試料は37℃の恒温器で1週間培養し,細菌の増殖の有無を検討した.結果および考察 人工有機質,キャナルスNともに平均除去時間はBO試薬使用がもっとも短く,次亜塩素酸ナトリウム製剤,EDTA製剤,未処理の順であった.また本結果は統計学的に有意差が認められた(図2).BO試薬による人工有機質と根管充填用シーラーへの有意な効果の理由としてブロメラインの有機質軟化作用とオレンジオイルのもつ高い有機質除去効果が影響しているものと思われる. BO試薬による抗菌性を検討した結果,BO試薬は根管内細菌の増殖を抑制することが確認された(表1).本結果よりBO試薬は根管内細菌に対して抗菌性を有する可能性が示唆された.この抗菌効果の理由は明確ではないが,オレンジオイルの主成分であるαリモネンの抗菌作用が関連しているものと推察される. これらの結果からBO試薬はう蝕処置だけではなく,根管処置の補助剤としても有用であることが示唆された.図1a~c 操作手順.BO試薬を塗布した後,ファイルで除去を行う.図2a 人工有機質除去時間.0100200300400500time(sec)*****■time(sec)*:p<0.05BOreagentADgelRCprepwater図2b キャナルスN除去時間.*****01002003004005006007008009001,000time(sec)■time(sec)*:p<0.05BOreagentADgelRCprepwater表1 各グループの細菌増殖の結果.+:細菌増殖あり,±:若干の細菌増殖,-:細菌増殖なし対照グループC1C2C3C4C5+++++実験群グループEX1EX2EX3EX4EX5-±±±±図1a図1b図1c89

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