IDA トリートメントマニュアル
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11資料収集保存修復歯内療法クラウンブリッジインプラントメインテナンス11CHAPTER 1 診断と治療計画のための資料収集患者が記入または選択しやすいように制作した問診票(Fig 1)をあらかじめ用意する. 全身的な診査(Table 1, 2) 歯科では観血的処置も多いため,その偶発症を防ぐには,他科からの薬物投与がされているようであれば,治療を進めるうえで認識しておくべきである.生活習慣病の増加により疾患が多岐にわたっている場合などは患者自身に自覚がある場合とない場合があり,体調に変化がないかどうかを注意深く確認する必要がある.そのなかでも,歯科治療に注意が必要な代表的な疾患として,心疾患,血液疾患,免疫疾患,糖尿病や骨粗鬆症などは注意が必要であり,もし加療中の場合は歯科治療を行うに当たって主治医との対診が必要となる.また,喫煙が歯科治療には関連がないと思っている患者もいるため,喫煙の有無と,喫煙者の場合は1日の本数もカルテに明記するとよい.Table 1 高血圧治療ガイドライン(日本高血圧学会).体温36.5〜37.2℃,脈拍60〜100/毎分,呼吸数15〜20/毎分.Table 2 全身疾患を把握するための検査項目と,その基準値・考えられる疾患.分類収縮期血圧 拡張期血圧至適血圧<120 かつ <80正常血圧<130 かつ <85 正常高値血圧130~139 または 85~89検査項目基準値考えられる疾患赤血球(RBC)男性430~554女性374~495 ×104/μL↑多血症 ↓貧血症白血球(WBC)3.6~9.3 ×103/μL↑白血病,細菌感染,敗血症,腎不全など↓再生不良性貧血,悪性貧血など 炎症,感染症で増加C反応性タンパク(CRP)0.3mg/dL以下↑急性炎症血小板(PLT)12.0~41.0 ×104/μL↑慢性白血病など↓血小板減少性紫斑病,白血病,肝硬変減少で出血傾向プロトロンビン時間(PT)9~11秒↑肝障害,胆道疾患ビタミンK欠乏症,ワーファリン服用者活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)24.5~39.7秒↑血友病,肝機能障害,骨髄腫AST(GOT)13~35 U/L↑肝機能障害,心筋梗塞ALT(GPT)8~48 U/L↑肝炎,脂肪肝アルブミン(Alb)4.1~4.9 g/dL↓肝障害,悪性腫瘍,感染症,栄養不良血清総タンパク(TP)6.6~8.1 g/dL↓ネフローゼ症候群,栄養不良,不足,急性腎炎↑慢性肝炎,多発性骨髄腫アルカリフォスファターゼ(ALP)104~338 U/L↑胆道,肝臓疾患,悪性腫瘍の骨転移乳酸脱水素酵素(LDH)109~210 U/L↑肝炎,心筋梗塞,癌尿素窒素(BUN)7~19 mg/dL↑腎不全,甲状腺機能亢進症,脱水,高タンパク食摂取↓肝不全,低タンパク食摂取総コレステロール(T-Cho)130~253 mg/dL↑動脈硬化,脂肪肝,糖尿病↓貧血,栄養障害,肝硬変中性脂肪(TG)26~173 mg/dL↑高脂血症,動脈硬化,糖尿病↓甲状腺機能亢進症,栄養障害HbA1c(NGSP)4.6~6.2 %↑糖尿病基準値は測定方法などにより医療施設で異なる場合がある.*基準値とは健常人集団の95%が含まれる範囲を表す.

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