インプラント周囲炎の科学と臨床
5/8

62はじめに インプラント治療は広く用いられている有用な治療法であるが、その反面インプラント周囲の病変が近年問題化しており、それに対する有効な治療法の確立が急務になってきている。従来からもインプラント周囲の病変に対する治療法が数多く提唱されているが、そのいずれにも問題点があった。 そこでわれわれは、Erbium Laserの特徴である水に対する特異的な吸収特性によって発生する水小爆発(Water-Micro-Explosion)を利用して、従来法では難しかったインプラント表面の微小構造を破壊することなしに行える汚染物質の除去、滅菌、 LPSの無毒化の同時処理という革新的な治療法を開発したので解説する1)。インプラント周囲病変の分類とその対処法 近年、「インプラント周囲炎:Peri-implantitis」という言葉がインプラント周囲全般の炎症の総称として誤認識されていることが多いが、正しくは天然歯における歯周炎の分類と同じく、その炎症がインプラント周囲の軟組織に限局している「インプラント周囲粘膜炎:Peri-im-plant mucositis」と、その炎症が軟組織だけに留まらずインプラント周囲の骨に波及しその吸収をともなうものがあり、後者を「インプラント周囲炎:Peri-implantitis」という。すなわち、インプラント周囲の病変には2種類の炎症形態が存在し、それぞれ治療方法が異なるということを理解しなければならない。 したがって、単に炎症が軟組織に限局しているインプラント周囲粘膜炎の場合ならポケット内を薬液などで洗Erbium LaserによるWater-Micro-Explosion法を用いた インプラント周囲炎治療●略歴1984年 岐阜歯科大学卒業1986年 大阪府富田林市にて藤沢台山本歯科開業2005年~朝日大学歯学部非常勤講師2006年 近畿大学医学部形成外科にて医学博士取得(頭部3D-CT規格分析法の開発)2012年~JIADSペリオインプラントアドバンス講師現在、日本レーザー歯学会学術理事・認定医・指導医、日本歯科保存学会会員、米国歯周病学会(AAP)会員、米国インプラント学会(AO)Active member、国際歯科レーザー学会(WFLD)会員、日本臨床歯周病学会会員、OJ正会員山本敦彦(医療法人成仁会 藤沢台山本歯科)Predictable Treatment of Peri-implantitis by using the Erbium Laser Water-Micro-Explosion

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です