インプラント周囲炎の科学と臨床
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70はじめに インプラント治療の普及により、世界的にインプラント周囲炎が増えている。そして、全世界で社会的問題にまで波及している。インプラント周囲炎が世界的に増加している理由はフィクスチャー表面がラフになったこと、インプラント治療が普及して症例そのものが増えたこと、そして相対的に施術者の増加による治療技術の平均が低下したこと、またそれにより倫理観が低下したこと、などと言われている。しかし、それだけが本当にインプラント周囲炎増加の真の理由であろうか。われわれが考慮すべきことは、天然歯における歯周治療と同様の治療手順の一つである、フィクスチャー表面のデブライドメントがきわめて困難であることである。 今回は、Erbium Laserを用いた、インプラント表面のデブライドメントの応用について、またインプラント周囲炎の原因を細菌学的免疫学的見地も含めて歯周治療学的に考察する。インプラント周囲炎の治療、そして細菌検査・免疫検査とは? 現在のインプラント周囲炎の治療術式の研究や症例報告は、インプラント周囲炎の部位を治すことだけに主眼が置かれていることが多い。しかし、重要なのは歯周治療と同様にインプラント周囲炎となった原因の除去が先行して行われることである。 インプラント周囲炎は多くの文献や疫学報告および症例報告からも、適切な歯周治療が行われないままインプラント治療がなされることによって、インプラント体に細菌感染が起こり、インプラント表面が汚染して歯周炎と類似した状態を呈していることが多い1~3)。また、細菌学的・免疫学的診断に基づく、インプラント周囲炎に対するErbium Laserを用いた再生治療法●略歴1993年 岡山大学歯学部卒業、東京医科歯科大学歯学部 歯科保存学第二講座(現歯周治療学教室)入局1999年 日本歯周病学会歯周病認定医(現指導医)2002年 AAP International Member2003年 日本臨床歯周病学会理事2004年 日本臨床歯周病学会指導医、認定医2006年 吉野歯科診療所 歯周病インプラントセンター開設2007年 AO Active Member2010年 歯学博士取得(東京医科歯科大学)2011年 日本歯周病学会評議員2012年 ペリオウェイブ臨床研究会代表吉野敏明(吉野歯科診療所歯周病インプラントセンター)Innovative Regeneration Technology to Solve Peri-implantitis by Erbium (Er:YAG) Laser based on the Microbiological and Immunological Diagnosis

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