インプラントYEAR BOOK 2014
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9塩田 真(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科インプラント・口腔再生医学准教授)1980年 東京医科歯科大学歯学部卒業1996年 東京医科歯科大学歯学部附属病院インプラント治療部助教授2000年 東京医科歯科大学大学院歯学総合研究科口腔機能再構築学系摂食機能回復学講座インプラント学助教授主な所属学会など: 日本補綴歯科学会代議員,口腔病学会評議員,日本口腔インプラント学会理事, 日本顎顔面インプラント学会会員・指導医はじめに インプラントに対するネガティブ報道が常態化している中で,いわゆるインプラントの使い回しは良識あるインプラントロジストにとって言語道断な出来事であった.しかしながら,何らかの原因で口腔内から脱落した,あるいは滅菌パッケージから出したが使用しなかったインプラントの再使用をなぜ思いつくのだろうか.インプラントの臨床応用が始まって以来,開発者の努力はいかにインプラント体と骨との結合を確実なものとし,かつ永続的なものにさせるかということに傾注されてきた.そのためにインプラント体については,マクロ的な形状から始まり,ミクロ的な表面性状からナノ的な化学性状の改造まで創意工夫が絶え間なく行われ,高いインプラント残存率が呈示されるようになってきた1).これは裏を返せば,表面に不備を持ったインプラントの使用は,確実な骨との結合を保証しないということを意味している.すなわち,インプラントの使い回しは,エシカルな道理は言うに及ばず,科学的な約束事を無視したきわめてエコノミカルにしてお粗末な理屈に基づくものである. このエコノミカルな理屈を導くものの1つにインプラントメーカーによるインプラント保証制度の不備がある.すでに汚染されたインプラントに替わって新品のインプラントが無償で提供されるのであれば,わざわざリスクを冒す者はいないはずである.インプラント保証制度はあくまでもメーカーサイドの決めごとである.しかし,成功率が100%にはなり得ないインプラント治療において2),フェイルセーフ機構としてのインプラント保証制度を用意することは,安心・安全な治療を行ううえできわめて有用であり,インプラント選択の一基準となる可能性もある.そこで今回,販売代理店を含むインプラントメーカー20社を対象としてインプラント保証制度に関するアンケート調査を行い(表1),その結果に基づいて保証の有無,保証対象,保証期間,保証条件について検討を行った.

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