インプラントYEAR BOOK 2014
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18インプラントYEAR BOOK 2014緊急対談インプラントYEAR BOOK 2014緊急対談18倫理観もさることながら,「使い回しはしない」という考えが最初からあるのでしょう. アメリカでは,まず訴訟について考えるので絶対にしないでしょうね.どういうことが起こっても,弁護士が戦えるようなことをやっていないと,アメリカの歯科医師会もサポートしてくれません.歯科医師会が援護してくれれば,訴訟はかなりの確率で勝てますけれど,もちろんしないでしょうね.インプラントの使い回しをやってしまうと,日本みたいに甘いことでは済まなくて,破産します.だから,訴訟へのリスクヘッジがつねに頭の中にあるんじゃないかと思います. つまり,やることじゃなくて,やった後の問題,自分にふりかかってくる影響が,日本と外国では違うということかもしれませんね.矢島 歯科医師の経済的な状態が異なる点も指摘できます.決して許されないことですが,歯科医師にも家族がいて生活していかなければならないのですから,切羽詰まってそういうことをしているのかもしれませんよね.歯科診療所の1軒あたりの保険収入は,ここ20年では1996年をピークに07年が最低です.良いときと比べ500万円以上低下しているわけです(図1).また赤字経営が続いている診療所も多いようです(図2).Q2どうすればインプラントの使い回しはなくなるのか?― ロットナンバーシールとインプラントカードおよび国際インプラント手帳の活用 ―司会 では,どのようにすればインプラントの使い回しはなくなるのでしょうか.矢島 よい方法があります.いまインプラントのフィクスチャーにそれぞれロットNo.の入ったシールが複数枚ついています.そのシールの1枚に「patient」と書いたものを作ります. インプラント埋入が済んだら,このシールをインプラント手帳あるいはインプラントカードに貼り,患者が保管することになります.そこには「patient」という1枚しか製造されないシールが必ず貼ってあるので,使い回しではないことの証明となるわけです.その後,「1枚のpatientシールがカードに貼ってある歯科医院は信用できますよ」というキャンペーンをやり,社会に周知します. つまり,1本のフィクスチャーに対して1枚のシールしかないわけですから,使い回しはなくなるはずです.メーカーがまとまればできるはずなんです. Patientシールを貼る手帳・カードは,日本顎顔面インプラント学会でいう国際インプラント手帳(図3),日本口腔インプラント学会ではインプラントカード(図4)です.司会 国際インプラント手帳,インプラントカード4,5004,0003,500(万円)090705032001999795931991年下落する保険収入歯科診療所1軒当たり保険収入儲けに格差個人歯科診療所の収支差額(月)の分布14121086420▲50未満▲50▲25▲250未満未満未満5004003503002752502252001751501251007550255004003503002752502252001751501251007550250~~~未満~未満~未満~未満~未満~未満~未満~未満~未満~未満~未満~未満~未満~未満以上~(万円)(%)図1 歯科医院の収入の推移(週刊ダイヤモンド2013/6/15より引用・改変).図2 個人歯科診療所の収支差額の分布(週刊ダイヤモンド2013/6/15より引用・改変).

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