咬合治療ナビゲーション
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咬合治療ナビゲーション編Ⅰ39 咬合採得は、咬合診査が目的か、補綴物等の製作が目的なのかをはっきりさせることが重要である。通常の咬合採得は、咬頭嵌合位(maximal intercuspal position: MI)で行われることが多い。しかし、咬合診査で用いる下顎位は、後方位で歯の接触のないわず 下顎を下顎基準位(RP)へ誘導し蝶番運動をさせて顎を閉じてくる際に、上下の歯が最初に接触する位置を最後方接触位(RCT)という。このとき、どの歯が基準位(RP)で咬合採得する臨床的な理由と基準位(RP)での咬合採得法(図Ⅰ-2-6)2かに開口した状態で記録しなければならない。 基準位(RP)で咬合採得をするときには、患者さんにリラックスしてもらう必要がある。患者さん自身で下顎の前後運動をしてもらい、下顎が後方で再現性のある位置を覚えてもらうとよい。最後方接触位( retruded contact position・RCT) の確認と記録(図Ⅰ-2-7、8)3接触したかを患者に聞き、その位置を咬合紙を使ってマークし、口腔内で確認する。これを後述する咬合分析シートの早期接触の欄に記録しておく。図Ⅰ-2-6a、b 下顎後退位での咬合採得。下顎を基準位(RP)に誘導するには患者に下顎を少し前に出してもらい、後ろに戻すように指示を出す。その動きのタイミングにあわせてオトガイ部に添えた指先で“ほんの少し”戻る動きを補助する程度に軽い圧を顎に加えることで、基準位(RP)に下顎を誘導できる。下顎がRPに入った感覚というのは、スタッフや友人に患者さんになってもらいコツがつかめるまで練習し体得するしかない。●下顎が後方で再現性のある下顎位●患者さん自身で前進後退運動をした時の後退位●歯の接触はない●リラックスした状態●押し込まない位置●回転運動のできる位置咬合採得の位置ab図Ⅰ-2-7 下顎を最後方位に誘導した位置で咬合採得を行うが、このとき、上下の歯が接触していないことを確認する。 図Ⅰ-2-8a、b 下顎が前方へ出てしまう場合や、筋の緊張が除去できない場合には、上顎の左右犬歯部に指を置き、下顎の歯を指で支えて接触を防ぎ、筋の緊張を除去して咬合採得をする方法(a)や、パラフィンワックスで作ったアンテリアジグで歯の接触を解除して筋の緊張を取り除き、咬合採得する方法(b)もある。ab

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