パーシャルデンチャーのつくり方
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53Part1 ケネディー分類Ⅰ級(両側性遊離端欠損)図5 上顎の研究用模型.図4 下顎の研究用模型. 前述のとおり,パノラマエックス線写真(図1参照)に示すの遠心部で切断,を抜歯した.3か月ごとの定期健診に比較的よく受診してくれるので,とくに術前のプラークコントロールは行っていない. 図4,5に研究用模型を示すが,このように将来装着する予定の義歯の設計図を標記するのが良い.これにより個人トレー製作時に,どの部分にリリーフを,どの程度の厚みで設定するか,あるいは粘膜の可動部と非可動部の境界を明確にするためのモデリングコンパウンドの設定範囲が容易に理解できる.とくに個人トレーを外注するときには必要不可欠な作業と考えられる.また,術前のガイドプレーン,レストシートなどの設置にはこの設計図をもとに支台歯の削除を行う. 本症例では,に近心咬合面レスト,遠心にガイドプレーンを設定した.同時にクラスプが通るためのスペースをの間に設定した.また,反対側の部に双子鉤を設定するための咬合面レストシート,クラスプの通るスペースを設定した.2. Preoperative Procedure ケネディー分類のⅡ級では2歯以下の欠損の場合,反対側にまで義歯構造を延ばすことは少なく,片側で処理することが多い.しかし本症例はの3歯欠損であるために反対側に義歯構造を延ばし,義歯の安定,維持を求めた.同時に本症例の左側最後臼歯であるも骨吸収が大きいので先行き保存不可能になり,抜歯となったのちにも義歯がそのまま応用できるようにと考えた. また,は骨吸収とともに動揺をともない,早期に保存不可能となる可能性が考えられたので,抜歯後も今回装着する義歯を修正することによって継続使用が可能なように設計した.すなわちにも維持装置を設定し,を抜歯したのちでも人工歯の追加修理だけで使用できるように配慮した.また,にかけたワイヤークラスプは白金加金とし,弾力性と審美性に配慮した. レジン床義歯と金属床義歯の選択はあくまで患者自身がするべきであるが,それぞれの長所・短所については術者である歯科医師が十分な説明を行うのは当然である.義歯を含めた修復物は理工学的性質や臨床的実績などから判断されるのは当然であるが,そのほかに価格という重要な要素が存在し,3. Concept and Foundation of Partial Denture

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