パーシャルデンチャーのつくり方
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1281. Disease and Complaint 患者は5の動揺が大きく,咬合痛があり,同歯の抜歯とその後の義歯製作を希望して来院した82歳の男性である.臼歯部と前歯部に中間欠損があるケネディー分類Ⅲ級1類症例である.下顎前歯には両側犬歯を支台歯としたワイヤー単純鉤のレジン床義歯が装着されていたが,の欠損部には義歯は装着されていなかった.図1,2はを抜歯し,義歯製作前の上下顎の口腔内の状態である.なお下顎残存歯には動揺はなく,4mm以上の歯周ポケットもない.およびは失活歯であるが,充填あるいはインレーで修復がされている.しかし患者によると処置した時期,それ以降の疼痛や腫脹など既往歴の記憶はない.は近心面に変色があり,エックス線透過性のある古い充填用レジンがあり,失活歯であった. が動揺度2であり,すでにレジン床義歯が装着されているが,とくに痛みなどは訴えていない.咬合接触関係はアイヒナー分類A3で臼歯部の咬合支持数は4点あり,咬合位は安定している.全体的なプラークコントロールは良好であり,歯肉の腫脹や出血も認めないが,歯根露出している部分に根面う蝕の傾向がある.患者の要望は,やむを得ない場合を除いて残存歯の積極的な治療は望まないが,義歯はがたつきの少ないものが希望とのことであった.ケネディー分類Ⅲ級1類Episode 32 下顎片側性中間+1中間欠損図2 上顎義歯装着時の口腔内写真.図1 下顎口腔内写真.

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