パーシャルデンチャーのつくり方
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130Episode32 下顎片側性中間+1中間欠損 中間欠損が2ヵ所になる症例は,可能であるならば1ヵ所をブリッジにして単純化するほうがメタルフレームの適合も良好であり,破折のリスクも少なく,患者にとっても義歯の違和感が少なくなると考えられている. 本症例でも,前歯部をブリッジにして右側の臼歯部のみを義歯にすることでも,片側設計で安定した義歯を装着することは可能である. 治療の計画としては,前処置も含めて考えられる治療の方針を説明し,患者と相談のうえ,最終的な計画を立てる必要がある.今回は,高齢で頻繁に通院することができないため,残っている歯をどうしても,処置しなければならない場合を除いて,必要最小限でしっかりした義歯がほしいという希望であった. 前述のとおりは根管処置歯であり,は充填の変色と歯髄壊死があるため,通法であれば前歯をブリッジにして臼歯部のみのケネディー分類Ⅲ級欠損として修復を考えるところであるが,患者の年齢と希望も考慮し,天然歯を削るデメリットと過重負担による失活歯の破折リスクが少ないと判断し,現状のまま前歯部も含めた義歯を設計した. また前歯の中間欠損を義歯の設計に含めることによって,義歯の頬舌回転による臼歯部への負担は少なくできる利点もあると考えた. レストはすべての支台歯に設定したが,把持は十分確保できるため,維持は臼歯部のみで十分であると判断した.これにより,前歯にクラスプを走行させなくてもすみ,金属が外観に触れにくくする利点も出てきた.ブラッシングは良好であるが,やはり歯頸部のう蝕は無視できないため,歯頸部は自浄性を考慮して連結子は歯頸部から離すように設計した.さらに歯面に接する部分はプラークが付着しにくい材料の選択が必要であり,衛生面と吸水性の点から金属構造物で可能なかぎり接するように設計した.3. Concept and Foundation of Partial Denture前歯部にクラスプがなくても安定する設計とした連結子は原則的に歯頸部から離す直接支台装置にはレストを設定した直接支台装置にはレストを設定した

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