パーシャルデンチャーのつくり方
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131Part3 ケネディー分類Ⅲ・Ⅳ級(片側性中間欠損/前歯中間欠損) 図7,8は衛生面,強度およびできるだけ単純な設計を意図して製作した新義歯である.右側臼歯部の頬舌的な回転に対しての動きは,前歯中間欠損部を義歯に含めることによって抑えることができている.そのため支台歯への過重負担は大きくないと考える. 義歯自体は多少大きくはなるが,前歯をブリッジにして臼歯部のみを義歯で修復するよりも明らかに安定性は向上するものと考えている.本症例ではとくに審美性に配慮したわけではないが,前歯にはクラスプは付与していない.レストとガイドプレーンのみの付与で十分な維持安定が得られているためである(図9). 全体的にブラッシングに対するモチベーションは高い患者ではあるが,下顎左側部のプラークコントロールと比較して,義歯側である下顎右側部のプラークコントロールはやや不良である(図10).義歯に接する支台歯の歯頸部,とくに7の近心歯頸部のブラッシングは,直接確認してもらったうえで,何度かブラッシング指導を行った. 高齢者に総じて言えることであるが,歯頸部のカリエスリスクが高いため,3か月ごとのリコールと早期のう蝕処置は必要と考えている.4. Postoperative Condition図9 義歯装着時の咬合面観.図10 メインテナンス時の口腔内の状態.図7 義歯咬合面観.図8 粘膜面観.

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