プロフェッショナルデンティストリー STEP5
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Case 1-1c、dとCase 1-2c、dは、治療後の状態である。このようにまったく違う口腔内状況となった。Case 1-1は、当時まだインプラント治療を導入していなかったことから、歯周補綴にて全顎治療を行っている。一方Case 1-2は補綴治療は行っておらず、歯科衛生士によるメインテナンスだけで治療後12年が経過している。 初診時の診査・診断に従えば、両者は同じ治療法が選択され、同じ結果になるはずである。しかし実際のゴールがこのようにまったく異なるのは、なぜだろうか? 両者の分岐点は、どこにあるのだろうか? 長年臨床に携わっていると、診査・診断結果は同じでも、この2症例のように治療計画が大きく変わってくることがある。なぜなら、歯科医師としてこれまで蓄積された経験から、最適と思われる治療法を患者1人1人に選択するからである。ゆえに時には「治療しない」という選択をすることもある。 これからの歯科医療は、単に疾患を治療するだけの存在として歯科を位置づけるのではなく、患者がよりよく生きていく上で歯科がどう貢献できるかを考え実践することが求められる。そのためには、一般的な診査のみで診断および治療計画を立案するのではなく、患者の背景をより深く洞察する姿勢が不可欠となる。ccddccddCase 1-1c、d 最終補綴物装着時の状態(1989年)。Case 1-2c、d メインテナンス12年経過時の状態(2009年)。Chapter 1SENSE 明日の歯科医療を描く視点13

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