プロフェッショナルデンティストリー STEP5
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Case 4-13 CureからCareの時代へ① 90歳を過ぎてもほぼ健全な口腔内環境を維持している患者【症例の概要】 患者は現在91歳・女性である。6か月に1回メインテナンスで来院している。もともと歯周病のリスクも低く、安定した口腔内を維持するには好条件がそろっている。それに加えて健康観も高く、現在までに2本の喪失歯しかない。チェアに座っても歯科衛生士とのおしゃべりがほとんどで、ご機嫌なようすで帰宅される。食事に関しても食べられないものはなく、バランスを心掛けるようにしているとのことである。一見、実際の年齢にはまったくみえない。 この患者に行ったCureとしての処置は前装レジンの修理や脱離したレジン充填程度であり、アポイントの多くの時間は歯科衛生士による細部のCareのみである。つまり、患者としっかりコミュニケーションを取りながら、人間関係を築き、長年にわたってCareし続けられる歯科衛生士の存在がいかに重要であるかがわかる。 今後、超高齢社会を迎えたわが国では、このような患者を1人でも増やすことが求められている。Case 4-13a~c 1990年来院時(70歳)のパノラマエックス線写真(c)と、2000年来院時(80歳)の口腔内(a)および顔貌写真(b)。生まれ持った好環境に加え、健康観の高さが生んだ口腔内である。bbaaccCase 4-13d~f 2011年来院時(91歳)。a、bから11年間、何も問題は発生せず、歯科医師は介入していない。歯科衛生士のみのアポイントで11年が経過した。eeddffChapter 4QUARITY 患者は何を求めているか133

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