歯内・歯周・補綴治療の臨床判断
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21DIAGNOSIS『この歯は保存可能か否か』の診断法― 歯列全体から検討する考えかた ―『この歯は保存可能か否か』の診断法― 歯列全体から検討する考えかた ― 歯周補綴を重視した時代から、現在のようにインプラントが臨床に積極的に導入される時代へと変遷してきたことに伴って、抜歯の基準は『保存できるかどうか』という観点から、『どのタイミングで抜歯を行ってインプラントを導入するか』という観点に視点が移ってきた。つまり、目的が『歯が機能できるか』から『骨の形態をいかに温存するか』に変化し、tooth doctor からbone doctorとしての視点が要求されるようになったといえる。 しかし、たとえ時代が変化し目的が変化してきたとしても、口腔内に存在する機能可能な歯をいかに保存するかは重要である。ここでは、一歯単位・歯列単位の両方に注目していただきたい。Chapter 1-2Summary以上の項目にすべてYESでない場合は、抜歯あるいは設計の変更を検討する。歯単体として保存可能かどうか?将来問題が生じた場合の対処法が簡便か?歯自体の問題•補綴に必要なフェルールを確保できるか?•補綴に必要な歯質の厚みは残存しているか?•破折などは認められないか?•歯肉縁下に機能に耐える十分な長さの歯根は存在するか?•治療不可能な根尖病変はないか?•歯質自体が脆弱になっていないか?アタッチメントの問題•機能に耐える十分な付着器官は存在しているか?•歯根周囲の骨レベルは平坦化されているか?位置の問題•cleansability(清掃性)は確保されるか?•最小の補綴設計の変更で、key toothが保存可能な設計となるか?•既存の補綴物は使用できるか?(修理程度)•対処後もその補綴物に予知性はあるか?•残存している機能的key toothの状態はよいか?•セグメンテーション化できるか?

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