歯内・歯周・補綴治療の臨床判断
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35ENDODONTICS根管治療を行う上で『歯を保存するか否か』の意思決定はどのように行うか根管治療を行う上で『歯を保存するか否か』の意思決定はどのように行うか イニシャルトリートメント(抜髄など、はじめて根管治療を行う場合)や再根管治療を行う際に、『根管治療を行うか否か』戸惑うことがある。また、根管治療は可能でも、その後の修復処置が大変難しい場面に遭遇することもある。 ここでは、このような状況に遭遇した場合の対応法を考えていきたい。Chapter 2-1Summary問題解決する上で考慮しなければいけない7つの要素 残存歯質の高さ(フェルール) Libman1)らによると、フェルールは1.5mmは確保するべきである。全周でフェルールが確保できない場合、Tanらは極力歯質を保存するように努め、最低でも頬舌側の歯質は保存することが望ましいとしている。高さが確保できない場合にとり得る方法は、矯正的挺出と歯冠長延長術である。 残存歯質の幅 フェルールの幅として必要最低量は1mmである。フェルールの幅は歯質の形成量の幅と根管治療時のフレアー形成量によって変化する。 total occlusal convergence(TOC) TOCとは歯冠部のフェルールを構成する軸壁の角度のことである。軸壁どうしの角度が大きくなればなるほど、必要なフェルールの垂直的な高さが必要となる。10°のTOCの場合は3mmのフェルールが必要であり、20°ならば4mmが必要であるとされている(図A)。 歯冠歯根比 歯冠歯根比とは、歯槽骨の位置から歯冠部の先端までの距離と、歯槽骨に埋まっている根の長さの比のことを指す。歯冠部の長さを1として比率を出すが、比率が1:1よりも小さくなってしまうと、その歯の予後は悪くなってしまう(図B)。幅1mmTOC(Net Taper)高さ1.5~2.5mmコア1526374残存歯質の高さ(フェルール)biologic width(生物学的幅径)残存歯質の幅付着レベルtotal occlusal convergence補綴治療上、担う役割歯冠歯根比図B 歯冠歯根比。図A total occlusal convergence。1234

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