生体と調和する歯周組織にやさしい歯冠修復物
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生物学的幅径が保たれているか前歯部(審美性)、臼歯部(咬合・清掃性)、部位ごとの目的は何かすでに現代はみんなで患者のエックス線、写真、模型、歯周検査などの情報を共有し、歯周補綴を成功に導く時代なのです」とも述べている。 これは患者を中心とした歯科医師・歯科衛生士の輪の中に歯科技工士も参加すべきであることを述べているのである(図A)。 われわれ歯科技工士は、歯冠修復物製作にあたっての咬合や適合の知識は十分身につけてきている。しかし、歯周組織と歯冠修復物の関係に関する知識は皆無に等しいのが現実である。 だが、歯冠修復物が患者の口腔内に入るものである以上、歯周組織を考えずにそれを製作してよいのだろうか? 筆者がそんな疑問を抱いていた時、東京都開業の阿部二郎先生が「みんなでいっしょに歯周補綴」1)を2006年に上梓された。同書では、 「歯科医師、歯科衛生士、そして歯科技工士の三者がそれぞれの役割を自覚し、他職種の役割を熟知し、協力しあうことで初めて患者が満足する歯周補綴が行える」ことが訴えられていた。また、 「チームワークの歯科医療は、役割分担ばかりでなく、患者に関するあらゆる情報の共有だ、と考えている。歯科衛生士は、補綴をわからなくてよい、歯科技工士は歯周病を知らなくてよいという時代はとっくに過ぎ去り、患者図A 患者を中心とした歯科医師、歯科衛生士の輪の中に歯科技工士も参加しなければならない。 また、筆者は幸運なことに阿部先生の臨床技工に20年前から携わることができた。 「天然歯そっくりの形態を与え、隣在歯と見た目に同じ色が再現できたとしても、歯肉の炎症がおさまらない修復物では、生体が受け入れたとは言えない。歯科技工士も患者個々の歯周環境を知ったうえで修復物を作ることが大切です」 と教えられてきた。すなわち今、患者や歯科医師がわれわれ歯科技工士に求めているのは、術後トラブルの少ない、機能と審美を維持できる歯周組織、すなわち生体ににやさしい修復物に他ならない(図B)。場環境条件歯周組織にやさしい歯冠修復物生体に親和性の高い修復物を作る歯科技工士の知識と技術prologue1歯科技工士も患者中心の歯科治療チームの一員2患者中心の歯科医療で求められるのは、「歯周組織にやさしい歯冠修復物」図B 歯周組織にやさしい歯冠修復物は歯科技工士が場、環境、条件を考慮して製作を行うことで達成される。歯科技工士歯科衛生士歯科医師

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