口腔外科ハンドマニュアル’14
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Chapter-PARADIGM SHIFT OF DENTAL SURGERY FOR 10YEARS LATER13特集3:埋伏智歯の抜歯術を再考する ─求められる知識とテクニック─歯・歯周組織の加齢変化からの難抜歯ATLASATLAS 加齢により歯のエナメル質は硬化し脆くなり亀裂を生じやすくなる(図4).セメント質は厚みが増加し,歯根膜はコラーゲン線維の硝子様変性により歯根膜腔の狭窄や歯槽骨との癒着をきたす.したがって歯冠は抜歯操作により破折や崩壊をきたしやすく,歯根は脱臼しにくい.抜歯操作により歯冠の破折をきたして歯肉縁下で残根状態になると歯根膜空隙にヘーベルはきわめて挿入しづらくなり,挿入できたとしても楔作用・輪軸作用がはたらきにくく,脱臼には困難をともなうこととなる(図5,6). 埋伏歯でも歯冠の一部が露出していた場合には同図3a~d 72歳,女性.脳梗塞の既往があり抗血小板薬の継続下に抜歯した.抗血栓療法の継続下の抜歯では軟組織を傷つけない愛護的抜歯操作と確実な止血処置を行うことができなければならない.a,b:近遠心の歯間乳頭部で縫合する.局所止血材を填入する前に創縁にあらかじめ糸を通しておく.c,d:緊密に縫合した後に止血用保護床を装着して,血餅の脱落を防止する.図4 72歳,男性.歯冠には亀裂が認められ,歯頸部う蝕が多発している.abcd98

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