新しいNi-Ti製ファイルの歯内療法
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Part 1“Single Patient Use”&“シングルファイル”とは?はじめになぜ1本のファイルで形成可能なのか2 近年開発されたNi-Ti製ファイルシステムWave Oneは1本のファイルで根管拡大形成が可能であるとされている.本章では「なぜ1本のファイルで形成が可能であるのか」,「大学研修施設での使用実感」に焦点をあててみたい.1)WaveOneの性質 WaveOneの特徴として以下の3点が挙げられる.①材質が新開発Ni-Ti合金M-ワイヤーである.②ファイルの位置によって断面形状が異なっている.③レシプロケーション運動で切削を行う.これら3点について簡単に考察してみたい.①M-ワイヤー 革新的熱処理を行って製造された特殊なNi-Ti合金であり,従来のNi-Ti合金よりも柔軟性に富み,さらに周期疲労に対する抵抗性が4倍程度である1.従来のNi-Ti製ファイルではクラウンダウン形成にあたってファイル破折のリスクを回避するために複数のファイルを使用してファイルにかかる負担を分散していた2.これに対して,WaveOneシステムでは歯冠側から根尖付近まで同時に切削する.この切削方法ではファイル刃部の広範囲にわたって負荷がかかるのであるが,M-ワイヤーの採用によってこのような切削方法が可能になったと考えられる.②断面形状 WaveOneの断面形状(図1)は,先端付近ではWaveOneの特徴1なぜ1本のファイルで形成が可能であるのか(大学研修施設での使用実感から)稲本雄之/畠 銀一郎大阪歯科大学口腔治療学講座連絡先〒540‐0008 大阪府大阪市中央区大手前1‐5‐17016

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