新しいNi-Ti製ファイルの歯内療法
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Part 4私の“Single Patient Use”の臨床応用1 歯内療法において根管形成の役割は,切削による機械的な感染源除去と適切なテーパーを利用した根管洗浄液の還流による化学的な清掃,そして根管充填材を緊密に充填するための受け皿としての形態の付与があげられる.根管形成は根管治療におけるもっとも重要なステップであり,その形態の要件としては,歯冠から根尖に向かってスムーズなテーパーを有し,その際に根管の解剖学的な形態の原型が含まれるとともに,残存歯質の損傷や,菲薄化を避けなければならない.従来ステンレススチール製ファイル(以下,SSファイルと略)を用いて,ステップバック形成やクラウンダウン形成などを行い,連続したテーパーの根管形成を行おうとすると,根管の湾曲が強いケースではその形態に追従することが困難になり,レッジやジップを作ってしまう原因にもなっていた.1988年にWaliaらによりKファイルにNi-Ti合金を応用することが報告され1,形状記憶,超弾性という2つの大きな機械的特性をもつNi-Ti製ファイルは,湾曲根管の解剖学的形態に沿った根管形成が可能であることが示唆された.その後20年にわたり進化を遂げ,現在われわれの臨床に大きな恩恵を与えている.歯内療法の歴史のなかでNi-Ti製ファイルの登場は,大きな技術革新であるといえるだろう. SSファイルとNi-Ti製ファイルは,前述したように機械的特性が大きく異なっている.では,具体的にどのような違いがあり,臨床上で2つのファイルをどのように使い分けていくべきだろうか(表1,2).ステンレススチール製ファイルとProTaper NEXT(WaveOne)の使い分けの視点からはじめにSSファイルとNi-Ti製ファイル岡口守雄東京都開業 岡口歯科クリニック連絡先〒102‐0083 東京都千代田区麹町2‐12‐1 グランアクス麹町201134

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