総義歯治療 失敗回避のためのポイント45
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108第2部 治療編Ⅰ ゴシックアーチ描記法ゴシックアーチ描記法は顎運動の記録法の1つであり,定められた咬合高径における下顎の水平的な左右側方限界運動路(ゴシックアーチ)を描記させ,その描記図をもとに顎間関係の決定や診断を行う方法です.生体と咬合器の顎運動を比較することもできます(図2-16-1).描記装置は,描記板と描記針が口腔内に設定される口内法描記装置(図2-16-2)と口腔外に設置される口外法描記装置があります.口内法は装置の操作性や安定性に優れ,記録時の口唇が自然な状態で描記できる利点があります.一方,口外法はゴシックアーチの線が明瞭であり,記録中に描記が直視できるなどが利点です.Ⅰ ゴシックアーチ描記法Ⅱ 記録床のつくり方1.基礎床の製作作業用模型に再現された解剖学的構造を観察し,骨隆起,フラビーガム,小帯部,アンダーカット部などを考慮し,パラフィンワックスを用いてリリーフおよびブロックアウトを行います.作業用模型にワセリンを分離材として塗布したのち,トレーレジンを圧接し,移行部が滑らかになるように形態修正を行います.一般的により安定の得やすい上顎の基礎床には直接描記針を装着し,下顎は咬合床を製作し,描記板を付与します.Ⅱ 記録床のつくり方Treatment Edition 16ゴシックアーチ描記法の記録法~記録床のつくり方と咬合器の扱い方~図2-16-1 描記された生体の側方運動路と咬合器上の側方運動路(白色)の比較.図2-16-2 口内法のゴシックアーチ描記装置.左上から描記板,描記針,黒色円板(付着用ディスク),透明プラスチック板(固定用ディスク),両面接着テープ,ディスク誘導棒(ポジショニングニードル),保護シール,記録シール(TN-C1).

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