ザ・クリニカルデンティストリー
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157補綴物装着後3年経過時考察■審美領域に用いるポンティック基底面形態のうち,改良リッジラップ型は歯槽堤の吸収度合いに依存し,審美的・機能的には,妥協的な対応になることが多い.しかし,欠損部歯槽堤の幅や高さが不足しており,外科的に改善できない場合には,改良リッジラップ型が適用される.■オベイト型および改良オベイト型を適応するためには,抜歯時に歯槽堤保存術を選択しなければならない.また,抜歯後の歯槽堤にも歯槽堤再建が必要となる.■審美領域欠損部歯槽堤でのポンティック形態の第一選択は,経年的に起こりうる歯頸部歯肉退縮によって引き起こされる”Shadow”(歯頸部付近が暗くなってしまい,食渣の停滞も起こる)に対応可能な改良オベイト型ポンティックである.しかし,あくまで欠損歯槽堤の唇側での水平的厚みおよび基底面中央から唇側辺縁までの垂直的厚みがあることが条件となる.この条件が満たされなければ,妥協的にオベイト型を選択することになる.■欠損歯槽粘膜のバイオタイプに応じて,薄いバイオタイプにはオベイト型,厚いバイオタイプには改良オベイト型と使い分ける.■ポンティック基底面直下の歯槽粘膜の厚さは,1mmあるいはそれ以上必要である.その範囲内でオベイト部をできるだけ深く嵌入するように設定する.■ポンティック基底面形態である歯肉縁下カントゥアによりジンジバルスキャロップのコントロールが可能である.Fig 7a~c 補綴物装着後3年経過時の状態.術前との比較より,とくに軟組織における著しい改善を認めた(セラミスト・森田誠).abc■硬組織のみならず軟組織の術前・術後評価が必要である■抜歯後の歯槽堤にオベイト型あるいは改良オベイト型ポンティックを適用する場合,歯槽堤の外科的再建は,必要不可欠である■改良オベイト型が審美領域欠損部歯槽堤でのポンティック形態の第一選択となるSummary

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