イラストで見る 天然歯のための審美形成外科
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591591複数歯の歯肉退縮に対する歯肉弁歯冠側移動術のまとめ複数歯の歯肉退縮に対する歯肉弁歯冠側移動術のまとめエンベロープ歯冠側移動術は、審美的要求が高い患者に対するテクニックの1つである。複数歯にわたる歯肉退縮が患者の上顎両側に存在する場合、両側方からアプローチする1回の外科手術によって治療されるべきである。角化歯肉の高さを有する退縮の認められない歯が、歯肉退縮を有する2本の歯の間に位置していた場合、フォールスリセッションテクニックが必要となる。退縮の認められない歯が一連の歯肉退縮の遠心(または近心)終末部に位置していた場合、歯肉退縮を有する最後方歯から遠心に単純減張切開を入れてエンベロープフラップを行う。エンベロープ歯冠側移動術の禁忌症:・露出根面の根尖側に角化歯肉がない部位・隆起または、頬側へ偏移した歯根・深部の非う蝕性歯頚部病変・浅い口腔前庭を有する部位エンベロープフラップの歯冠側移動術は、局所の解剖学的条件(すなわち1mm以上の角化歯肉が存在し、重度な根の位置異常や隆起がない場合)や患者のバイオタイプ(CEJ‐MGJ間の十分な距離や深い口腔前庭)がふさわしい場合、隣在歯に生じた複数歯の歯肉退縮に対する治療テクニックである。前方からのアプローチは上顎および下顎切歯両方の歯肉退縮部を修正するが、側方からのアプローチは下顎クアドラントにある歯肉退縮(中切歯から第一大臼歯)に用いられる。下顎のエンベロープ歯冠側移動術は浅い(3mm未満)歯肉退縮部で行われる。正面からのアプローチは切歯部の歯肉退縮において行われる一方、側方からのアプローチは中切歯から第一大臼歯までの部位に行われる。犬歯(または小臼歯)を越える深い退縮は、犬歯(または小臼歯)の近心側に単純減張切開が必要となる。

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