日本審美歯科協会30年の歩み
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前歯審美インプラント治療成功のポイントとテクニック本ケースのmy favorite technique 最終的につくり上げた軟組織とプロビジョナルレストレーションのカントゥア形態を正確に歯科技工士に伝達するためには,最終アバットメント製作時にラボサイドで個歯トレーを製作しておく.軟組織の形態が決定した後にピックアップ印象を行うことで,インプラント周囲の軟組織の形態を再現することができる.また,最終プロビジョナルレストレーションのマージン部からの立ち上がりのカントゥアの印象採得も行い,歯科技工士へその情報を提供する.まとめ 審美インプラント成功の鍵は,第一に綿密な診査・診断とそれに基づく治療計画の立案にある.考慮事項としては,①歯肉のバイオタイプ,②歯槽骨の高さと幅,③欠損部軟組織の状態,④インプラント埋入時期,⑤インプラント埋入ポジション,⑥硬・軟組織のマネージメント,⑦欠損歯数,⑧上部構造の設計と製作,⑨リップラインとの関係,⑩咬合関係,⑪患者の年齢や協力度,⑫患者の審美的要求度,等,多くのことを考慮して治療を行わなければならない.また,歯科技工士との間で正確な情報のやり取りを行い,患者が満足する予知性の高い治療を提供しなければならない.とくに審美領域におけるインプラント治療は,患者とのトラブルになることも多くケースセレクションには注意を要する. 審美領域のインプラント治療においては,とくに埋入深度が深くなる傾向にあるが,患者の年齢や歯周病などの病態によって埋入深度や補綴装置の様式を決定することも重要な鍵である.参考文献1. 林美穂,山田和伸.歯科審美修復治療における歯科医師・歯科技工士のコミュニケーションメソッド.In:山崎長郎(編).別冊 the Quintessence デンタルエステティックパートⅦ.審美歯科治療の長期的観点からの検証.東京:クインテッセンス出版,2012;54‐64.2. Chan HL, Lin GH, Fu JH, Wang HL. Alterations in bone quality after socket preservation with grafting materials: a systematic review. Int J Oral Maxillofac Implants 2013;28(3):710‐720.3. Lee A, Brown D, Wang HL. Sandwich bone augmentation for predictable horizontal bone augmentation. Implant Dent 2009;18(4):282‐290.4. Fu JH, Oh TJ, Benavides E, Rudek I, Wang HL. A randomized clinical trial evaluating the efficacy of the sandwich bone augmentation technique in increasing buccal bone thickness during implant placement surgery: I. Clinical and radiographic parameters. Clin Oral Implants Res 2014;25(4):458‐467.図29a~d ピックアップ印象(a,b)とプロビジョナルレストレーションの印象を行い(c,d),歯科技工士へ情報を伝達する.図30 プロビジョナルレストレーションの形態を模倣して製作されたジルコニアセラミッククラウン.acbd5757

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