日本審美歯科協会30年の歩み
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CAD/CAMを生かした審美修復症例1のmy favorite technique症例に応じたマテリアルの使い分け CAD/CAMの特徴は,作成したデータから同じ補綴物を同時に複数製作が可能なことである.症例1のように,咬合面までジルコニアで製作したフレームにフェイシングのみを築盛陶材で行う方法や,コバルトやチタンで製作したフレームに,e.max CADで製作した上部構造を接着する方法(図31~33)などがあるが,これらのように,より強度のあるジルコニアで咬合面を製作するか,e.maxなどのマテリアルをフレームに接着するか,あるいはフレームに直接陶材を築盛するかは症例によって使い分ける必要がある.インプラント支台本数が少なく,より強度が求められるものは,メタルフレームで上部構造を製作したほうが有利であろう.しかしながら,強度と審美性を兼ね備えたジルコニアを咬合面で使用したい場合は,ジルコニアフレームを応用したほうが有利であろう.図31 ボーンアンカードブリッジの上部構造.コバルトのフレームに,e.max CADで製作した1歯単位の上部構造を製作し,口腔外で接着した.写真は,e.max CADで製作したクリスタライゼーション前の上部構造を試適している状態.図32 最終補綴物の写真.歯肉部分はハイブリッドで製作し,症例1と同様に,固定方法はAGC電鋳キャップを使用.図33 上部構造装着後の 口腔内写真.まとめ CAD/CAMシステムには,Digital impression taking(光学印象)による口腔内直接印象,または技工サイドによる石膏模型のスキャニングからコンピュータ上でバーチャルデザインされた模型上で補綴物のデザインデータを作成するものや,石膏模型と石膏模型上でワックスアップしたものをダブルスキャンして補綴物のデータを作成し,それを院内あるいはセンターにあるCADで補綴物を削りだし,研磨のみで仕上げたり,グレーズあるいはその上にフェイシングするものまで,いくつかの方法がある.CAD/CAMで使用するブロックもハイブリッドセラミックスからジルコニア,チタンまで適応範囲も広がってきている. そのようななか,CAD/CAMシステムがこれまでの鋳造による補綴物に取って代わろうとしている.それに合わせて,天然歯においては,よりクリアな形成限界とスムーズな形成面による支台歯形成,症例に応じて最適なマテリアルと補綴方法を歯科医師が選択する必要がある.審美補綴修復においても,患者に最適な補綴治療を提供するためには,めまぐるしく進歩しているCAD/CAM機器とそのマテリアルに十分精通しておく必要があるだろう.175175

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