臨床家のための矯正 YEAR BOOK 2014
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045臨床家のための矯正YEARBOOK 2014株式会社トミーインターナショナルタラクティブステージは,パッシブとアクティブの境界で,ワイヤーがクリップを棚から離すことなくシーティングフォース以下の力でクリップに接触しているか,わずかに離れている状態を指す.0.022スロットのブラケットでは,0.020×0.020インチのワイヤーがこれに相当するとされている(図5). 治療の各ステップで使用するワイヤーの選択やメカニクスを検討する際には,このスロットとクリップの関係を考慮する必要がある(図6).すなわち,クリッピーを使用して歯の移動を行う際に,ワイヤーとブラケット間の摩擦が移動の妨げになる場合には,パッシブからインタラクティブの段階に相当するサイズのワイヤーを選択する必要がある.また,積極的なトルクコントロールが必要な場合には,アクティブな段階に相当するワイヤーを選択することで歯の移動を効率的にコントロールすることが可能となる.セルフライゲーティングブラケットの利点・欠点 セルフライゲーティングブラケットを使用する利点として,結紮に要する時間を大幅に短縮できることや,術者が異なる場合でも,ほぼ同様の規格化された結紮を行うことができる点があげられる.また,ブラケットとワイヤー間の摩擦が少なく,効率的な歯の移動を行うことができることも大きな利点とされている.不注意な扱いによるクリップの緩みが,セルフライゲーティング機能を低下させる可能性がある点は欠点としてあげられる.症例1:55先天性欠如をともなうⅡ級叢生症例 33歳9か月の男性で,上顎前歯部の叢生と₅先天性欠如(₅も先天性欠如)を主訴に受診した(図7). Ⓔは,33歳まで残存しているが,歯根吸収が進み[症例1(図7~15)]図7 症例1.初診時.

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